コントロール良好な1型糖尿病患者について、新たなセンサー式の速報型血糖モニタリング(flash glucose-monitoring)システム「Freestyle Libre」を用いることによって、使用開始前と比べて1日の低血糖時間が約1.4時間短縮できることが示された。既存のセルフモニタリングシステムと比べて、同時間短縮の差は1.24時間あったという。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のJan Bolinder氏らが、多施設共同無作為化対照非盲検試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2016年9月12日号で発表した。
6ヵ月後の低血糖時間を比較
研究グループは、2014年9月4日~2015年2月12日にかけて、欧州の23ヵ所の糖尿病センターを通じて、コントロール良好(HbA1c値7.5%[58mmol/mol]以下)の1型糖尿病成人患者328例を対象に試験を行った。
被験者全員に2週間にわたって盲検化センサーを装着してもらい、50%以上読み取りができた被験者(241例)を無作為に2群に分けた。一方の群には、センサー式速報型血糖モニタリングを(介入群、120例)、もう一方の群では、毛細血管ストリップを用いたセルフモニタリングを行った(対照群、121例)。
主要評価項目は、ベースラインから6ヵ月後までの、1日の低血糖症(70mg/dL[3.9mmol/L]未満)を呈した時間の変化だった。
低血糖時間、1日3.38時間から2.03時間へ短縮
その結果、1日の低血糖症時間は、対照群ではベースライン3.44時間/日から6ヵ月後は3.27時間/日へと変化し、補正後平均変化時間は-0.14時間/日だった。一方、介入群では、3.38時間/日から2.03時間/日へと変化し、補正後平均変化時間は-1.39時間/日、率にして低血糖症時間は38%減少したことが示された。介入群と対照群の変化時間の差は、-1.24時間/日で有意差が認められた(p<0.0001)。
なお、センサー式血糖測定器に関連する低血糖症や安全面に関連したイベント発生は報告されなかったが、患者10例で13件の有害事象が報告された。センサーに関連したアレルギー4件(重症1例、中等症3例)、かゆみ1件(軽症)、発疹1件(軽症)、装置装着部の症状4件(重症)、紅斑2件(重症1件、軽症1件)、浮腫1件(中等度)。
また重篤有害事象の報告は9例10件(各群5件)が報告されたが、いずれも機器に関連したものではなかった。
結果を踏まえて研究グループは、さらに、コントロール不良な1型糖尿病患者や、若年患者を対象にした試験の実施が必要だとまとめている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)