ホルモン受容体(HR)陽性でHER2陰性の閉経後女性の進行乳がんに対して、初回全身治療として、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用が、レトロゾール単剤に比べて無増悪生存期間を延長することが報告された。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのGabriel N Hortobagyi氏らが、668例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、発表したもので、NEJM誌オンライン版2016年10月7日号に掲載された。
ribociclibは3週間投与、1週間休薬
研究グループは2014年1月24日~2015年3月24日に、HR陽性HER2陰性の再発または転移性乳がんの閉経後女性で、進行がんに対する全身治療を受けたことのない668例の患者を対象に試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはribociclib(600mg/日を3週間投与し1週間休薬)とレトロゾール(2.5mg/日)を、もう一方にはプラセボとレトロゾールを投与した。
主要エンドポイントは無増悪生存期間。事前に規定した優越性は、ハザード比0.56以下でp<1.29×10
−5だった。副次エンドポイントは、全生存期間、奏効率、安全性などだった。
あらかじめ計画された中間解析は、2016年1月29日に行われた。それまでに243例が病勢進行または死亡となった。
無増悪生存率、ribociclib併用群53%、プラセボ群37%
追跡期間の中央値は、15.3ヵ月だった。
その結果、無増悪生存期間はribociclib群がプラセボ群に比べ、有意に延長し、ハザード比は0.56(95%信頼区間[CI]:0.43~0.72、優越性に関するp=3.29×10
−6)だった。18ヵ月追跡後の無増悪生存率は、プラセボ群が42.2%(同:34.8~49.5)に対し、ribociclib群は63.0%(同:54.6~70.3)だった。
ベースラインで測定可能な病変を持つ患者についてみると、奏効率はプラセボ群が37.1%、ribociclib群は52.7%だった(p<0.001)。
Grade3または4の有害事象について、いずれかの群で10%以上認められたのは、好中球減少症(プラセボ群0.9%、ribociclib群59.3%)、白血球減少症(0.6%、21.0%)だった。有害事象による服用中断は、プラセボ群2.1%、ribociclib群7.5%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)