心筋ミオシン活性化薬、収縮期心不全の機能改善/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/15

 

 左室駆出分画率40%以下の症状が安定している慢性心不全患者に対する新規開発中の経口薬、心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbilは、血漿中OM濃度に基づく投与量の増加で、心機能の改善、および左室径の縮小と関連することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJohn R. Teerlink氏らが、患者448例を対象に行った第II相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、COSMIC-HF(Chronic Oral Study of Myosin Activation to Increase Contractility in Heart Failure)の結果で、Lancet誌オンライン版2016年11月30日号で発表した。

血漿中の心筋ミオシン活性化薬濃度に基づく用量漸増試験で評価

 研究グループは、2014年3月17日~2015年3月5日にかけて、13ヵ国、87ヵ所の医療機関を通じて、安定症候性慢性心不全で、左室駆出分画率が40%以下の患者448例を対象に試験を行った。

 被験者を無作為に3つの群に分け、1群には経口心筋ミオシン活性化薬(25mg)を1日2回(25mg群:150例)、2群には心筋ミオシン活性化薬(25mg)を1日2回から始め、その後50mgを1日2回となるまで漸増した。漸増の評価は、2週時点で行い、朝の投与前血漿中の心筋ミオシン活性化薬濃度が200ng/mL未満の場合に8週時点で50mgを1日2回となるよう漸増した(用量漸増群:149例)。3群はプラセボを投与した(プラセボ群:149例)。3つの群とも投与期間は20週間だった。

 主要エンドポイントは心筋ミオシン活性化薬の血漿中最大濃度で、心機能、左室径の変化について評価を行った。

心筋ミオシン活性化薬の用量漸増群で左室径・心拍数が減少

 その結果、試験開始後12週時点の血漿中の心筋ミオシン活性化薬平均最大濃度は、25mg群は200ng/mL(SD:71)、用量漸増群は318ng/mL(同:129)だった。

 試験開始20週時点では、用量漸増群とプラセボ群の最小二乗平均差は、収縮期駆出時間が25ms(95%信頼区間[CI]:18~32、p<0.0001)、1回拍出量が3.6mL(同:0.5~6.7、p=0.0217)、左室収縮終末期径が-1.8mm(同:-2.9~-0.6、p=0.0027)、左室拡張終末期径が-1.3mm(同:-2.3~0.3、p=0.0128)、1分間心拍数が-3.0(同:-5.1~-0.8、p=0.0070)、NT-pro-BNP濃度は-970pg/mL(同:-1672~-268、p=0.0069)だった。

 なお、臨床的有害事象の発生頻度については、群間差は認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 絹川 弘一郎( きぬがわ こういちろう ) 氏

富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二(第二内科) 教授

J-CLEAR推薦コメンテーター