α1遮断薬は尿管結石の保存的治療に有効であることを、米国・ミシガン大学のJohn M Hollingsworth氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。α1遮断薬は無作為化試験により結石の自然排出を促すことが示唆され、現行のガイドラインでは、同薬を用いた治療を推奨している。しかし最近、厳格な方法論を用いた大規模試験の結果、その治療効果について疑問が呈されていた。なお今回の検討では、α1遮断薬による保存療法のベネフィットは、結石が大きい患者で最大であることも示唆された。研究グループは、「結果は現行ガイドラインを支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2016年12月1日号掲載の報告。
システマティックレビューとメタ解析で自然排出効果を評価
検討は、2016年7月時点のCochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science、Embase、LILACS、Medlineの各データベースおよび学会抄録を検索して行われた。尿管結石の治療としてα1遮断薬とプラセボまたは対照を比較した無作為化試験を適格とし、2人の研究チームメンバーがそれぞれ各包含試験からデータを抽出した。
主要アウトカムは結石が排出された患者の割合。副次アウトカムは排出にかかった期間、疼痛エピソード数、手術を受けた患者の割合、入院を要した患者の割合、有害事象を経験した患者の割合とした。
主要アウトカムは、プロファイル尤度ランダム効果モデルを用いて、プールリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出。エビデンスの質と結果の要約の質について、Cochrane Collaboration'sツールを用いてバイアスリスクとGRADEアプローチを評価した。
中程度のエビデンス、結石が大きいほど排出効果が高い
検索により55の無作為化試験(被験者総数5,990例)が包含された。
解析の結果、α1遮断薬の尿管結石排出に関するエビデンスは中程度であることが示された(RR:1.49、95%CI:1.39~1.61)。
演繹的サブグループ解析の結果、尿管結石が小さい患者ではα1遮断薬治療のベネフィットは観察されなかった(1.19、1.00~1.48)。しかし大きな患者では、対照との比較で57%排出リスクが高かった(1.57、1.17~2.27)。
α1遮断薬の効果は、結石の位置で異なっていた。上部尿管と中部尿管のRRは1.48(1.05~2.10)、より下部尿管は1.49(1.38~1.63)だった。
対照との比較で、α1遮断薬治療を受けた患者は、結石排出までの期間が有意に短かった(平均差:-3.79日、95%CI:-4.45~-3.14、エビデンスの質は中程度)、また疼痛エピソードも少なく(-0.74例、-1.28~-0.21、エビデンスの質は低い)、手術介入リスクも低く(RR:0.44、0.37~0.52、エビデンスの質は中程度)、入院リスクも低かった(0.37、0.22~0.64、エビデンスの質は中程度)。
重篤な有害事象のリスクは、治療群と対照群で同程度であった(1.49、0.24~9.35、エビデンスの質は低い)。
(ケアネット)