集中治療室(ICU)に入室した感染症が疑われる成人患者について、院内死亡やICU入室(LOS)が3日以上などのアウトカムの識別能は、連続(敗血症関連)臓器不全評価(SOFA)スコアの2点以上増加の指標が、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準スコア2以上や迅速SOFA(qSOFA)2点以上の指標に比べて、予後の正確さが有意に高いことが明らかになった。オーストラリア・アルフレッド病院のEamon P Raith氏らが、感染症によるICU入室患者18万4,875例を対象とした後ろ向きコホート解析により明らかにし、JAMA誌2017年1月17日号で発表した。
ICU182ヵ所の感染症疑い入室患者について、AUROCで識別能を評価
研究グループは2000~15年に、オーストラリアとニュージーランドの182ヵ所のICUに、感染症の主診断で入室した患者18万4,875例を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。入室24時間以内のSOFAスコアの2点以上増加、SIRS基準スコアが2以上、qSOFAスコアが2点以上の、アウトカムに対する識別能の優劣を検証した。識別能については、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)で評価した。
主要評価項目は、院内死亡だった。副次的評価項目は、院内死亡または3日以上のICU入室の複合エンドポイントだった。
院内死亡またはICU入室3日以上もSOFAが高い識別能
被験者の平均年齢は62.9歳(標準偏差:17.4)、女性被験者は8万2,540例(44.6%)で、最も多い診断名は細菌性肺炎で3万2,634例(17.7%)だった。
結果、院内死亡は3万4,578例(18.7%)で、同死亡または3日以上のICU入室は10万2,976例(55.7%)だった。SOFAスコアが2点以上増加した人の割合は90.1%、SIRS基準スコアが2以上は86.7%、qSOFAスコアが2点以上は54.4%だった。
院内死亡の識別能に関するAUROCは、SIRS基準が0.589、qSOFAスコアが0.607に対し、SOFAスコアは0.753と有意に高かった(p<0.001)。
院内死亡または3日以上のICU入室に関する識別能も、SIRS基準が0.609、qSOFAスコアが0.606に対し、SOFAスコアは0.736と有意に高かった(p<0.001)。
著者は、「結果は、ICU入室患者の死亡予測の有用性について、SIRS基準とqSOFAは限定的であることを示すものだった」と述べている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)