12年にわたる食事の質の改善は、死亡リスクの低下と確実に関連している。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMercedes Sotos-Prieto氏らが、看護師健康調査(Nurses' Health Study:NHS)および医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study:HPFS)を基に解析し、明らかにした。これまでの研究で、食事の質を改善することにより、全死亡あるいは心血管疾患による死亡のリスクが低下することは示唆されていたが、長期的な食事の質の変化と死亡リスクとの関連を評価した研究はほとんどなかった。NEJM誌2017年7月13日号掲載の報告。
12年間の食事の質の変化と、その後の12年間の死亡リスクとの関連を解析
研究グループは、NHSおよびHPFSのデータを用い、1986~98年の12年間における食事の質の変化と、1998~2010年における全死亡および死因別死亡との関連を、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。1998年以前に心血管疾患やがんなどの既往歴があった参加者や死亡例などは除外し、最終解析対象はNHSの女性4万7,994例およびHPFSの男性2万5,745例となった。
食事の質の変化は、代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index:AHEI)2010、代替地中海食(Alternate Mediterranean Diet:AMED)、高血圧予防(Dietary Approaches to Stop Hypertension:DASH)食の3つの食事スコアを用いて評価した。
12年間の改善率が大きい場合、もともと質の高い食事を維持した場合とも有意に低減
AHEI-2010スコア、AMEDスコアおよびDASHスコアの変化に基づくと、12年間で食事の質が最も改善した群(13~33%改善)はほとんど改善しなかった群(0~3%改善)と比較し、全死因死亡の統合ハザード比が、それぞれ0.91(95%信頼区間[CI]:0.85~0.97)、0.84(95%CI:0.78~0.91)および0.89(95%CI:0.84~0.95)であった。
食事スコアの20パーセンタイル上昇(食事の質が改善されたことを指す)は、3つの食事スコアを用いた場合の全死亡リスクの8~17%低下と、AHEI-2010スコアおよびAMEDスコアを用いた場合の心血管死亡リスクの7~15%低下と、いずれも有意に関連していた。
12年間、質の高い食事を維持していた群は質の低い食事を継続した群と比較して、全死因死亡のリスクが、AHEI-2010スコアによる評価で14%(95%CI:8~19)、AMEDスコアで11%(95%CI:5~18)、DASHスコアで9%(95%CI:2~15)、いずれも有意に低下した。
各食事スコアで最も改善に寄与した食品群は、全粒穀物、野菜、果物、魚類およびn-3脂肪酸であった。
なお、著者は、食事に関するデータは自己申告であり、残余あるいは未測定の交絡因子を完全に除外できておらず、参加者のほとんどは白人医療従事者で一般化は制限される可能性があることなどを研究の限界として挙げている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)