生体吸収性スキャフォールドの2年転帰:7試験メタ解析/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/27

 

 エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)は、エベロリムス溶出金属ステント(EES)に比べ、2年時のステントに起因する有害事象の発現頻度は約1.3倍で、ステント血栓症は約3.4倍であることが示された。また、ステント留置後1~2年の間の両発症リスクも、BVS群がEES群に比べて高率だった。米国・コロンビア大学のZiad A. Ali氏らが、追跡2年以上の無作為化試験7件を対象に行ったメタ解析で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年7月18日号で発表した。BVSは生体に完全に吸収されることでPCI後の長期アウトカムを改善する。これまでの無作為化試験で、1年時点の安全性・有効性の複合アウトカムについて、BVSの薬剤溶出金属ステントに対する非劣性は示されていたが、標的病変の心筋梗塞やデバイス血栓症の発現頻度の増大が確認されていた。また、BVS留置後1年を超えたアウトカムは明らかではなかった。

心血管死、標的病変関連心筋梗塞などステント起因複合エンドポイントを比較
 研究グループは、エベロリムス溶出Absorb BVSと金属製EESを比較し、2年以上追跡した無作為化比較試験について、MEDLINE、Cochrane database、TCTMD、ClinicalTrials.gov、Clinical Trial Results、CardioSourceや、主要な心血管系学会での抄録や発表などを2017年4月1日時点で検索し、システマティックレビューとメタ解析を行い、留置後2年間および1~2年の間のBVSの安全性と有効性を確認した。

 有効性に関する主要アウトカムは、デバイス起因複合エンドポイント(心臓死、標的病変関連心筋梗塞、または虚血による標的病変血行再建術)だった。安全性に関する主要アウトカムは、definite/probableデバイス血栓症だった。

2年時の標的病変関連心筋梗塞リスク、BVS群はEES群の約1.7倍
 メタ解析には、無作為化試験7件、被験者総数5,583例(BVS群:3,261例、EES群:2,322例)が含まれた。

 2年デバイス起因複合エンドポイント発生率は、EES群7.4%(169/2,299例)に対し、BVS群は9.4%(304/3,217例)と有意に高率だった(相対リスク[RR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.08~1.56、p=0.0059)。これら両群差は、2年標的病変関連心筋梗塞発症率が、EES群で3.2%に対しBVS群で5.8%であったことや(RR:1.68、95%CI:1.29~2.19、p=0.0003)、また、虚血による標的病変血行再建術の発生率もそれぞれ3.9%、5.3%と(RR:1.40、95%CI:1.09~1.80、p=0.0090)、いずれもEES群よりBVS群で有意に高率であったことが関係していた。

 累積2年ステント血栓症発症率も、EES群0.7%に対しBVS群は2.3%と3倍強に上った(RR:3.35、95%CI:1.96~5.72、p<0.0001)。

 ランドマーク解析の結果、1~2年のデバイス起因複合エンドポイント発生率についても、EES群1.9%に対しBVS群は3.3%と、有意に高率だった(RR:1.64、95%CI:1.03~2.61、p=0.0376)。ステント血栓症発症率も、それぞれ0%、0.5%とBVS群で有意に高率だった(p<0.0001)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)