乳房温存術後の放射線照射、全乳房vs.部分vs.減量/Lancet

早期乳がんに対する乳房温存術後の放射線療法において、乳房部分照射単独あるいは減量全乳房照射+乳房部分照射は、標準的な全乳房照射に対し5年同側乳房再発率に関して非劣性であることが検証され、有害事象も同等または少ないことが確認された。英国・ケンブリッジ大学のCharlotte E. Coles氏らが、同国放射線治療センター30施設で実施した第III相多施設共同無作為化試験「IMPORT LOW」の5年追跡結果を報告した。著者は、「この方法は難しくなく、世界中の放射線治療センターで実施可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年8月2日号掲載の報告。
5年間追跡し、同側乳房再発率を比較
研究グループは、腫瘍径3cm以下(pT1~2)、腋窩リンパ節転移陰性またはリンパ節転移1~3個(pN0~1)のGrade 1~3浸潤性乳管がんで、断端2mm以上陰性を確保できた50歳以上の乳房温存術施行症例を、対照群(全乳房照射40Gy)、減量照射群(全乳房照射36Gy+乳房部分照射40Gy)、部分照射群(乳房部分照射40Gy)に1対1対1の割合で無作為に割り付けた(コンピュータを用いたサイズ6~9のランダム置換ブロック法、施設で層別化、非盲検)。照射は1日1回計15回で、すべての治療群は線量の均一性を最適化するためフォワードプランによる強度変調放射線治療(IMRT)を受け、乳房部分照射に関しては、幅ではなく長さを短くした標準的接線照射を用いるfield-in-field IMRTとした。主要評価項目は、同側乳房再発(非劣性マージンは同側乳房再発ハザード比[HR]の95%信頼区間[CI]の上限値が2.03未満)で、intention-to-treat解析にて評価した。2007年5月3日~2010年10月5日に2,018例が割り付けられ、うち2例は同意撤回のため除外となり、解析対象は対照群674例、減量照射群673例、部分照射群669例であった。
減量群は67%減少、部分群は35%減少
追跡期間中央値72.2ヵ月(四分位範囲:61.7~83.2)において、5年同側乳房再発率は対照群1.1%(95%CI:0.5~2.3)に対し、減量照射群0.2%(95%CI:0.02~1.2、絶対差:-0.73%[95%CI:-0.99~0.22])、部分照射群0.5%(95%CI:0.2~1.4、絶対差:-0.38%[95%CI:-0.84~0.90])であった。対照群に対する同側乳房再発HRは、減量照射群0.33(95%CI:0.09~1.20)、部分照射群0.65(95%CI:0.23~1.84)で、いずれも95%CIの上限値が2.03を下回り、非劣性が認められた(非劣性p値:減量照射群p=0.003、部分照射群p=0.016)。有害事象の発生は、減量照射群と部分照射群で類似しており、対照群と比較し乳房外観の変化(部分照射群p=0.007)および乳房硬化(減量照射群p=0.002、部分照射群p<0.0001)は有意に減少した。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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乳房部分照射単独の有効性を明らかにした重要な報告(解説:矢形 寛 氏)-731
コメンテーター : 矢形 寛( やがた ひろし ) 氏
埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授