進行メラノーマ、ペムブロリズマブかイピリムマブか:KEYNOTE-006/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/25

 

 進行性黒色腫患者に対する、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の有効性および安全性をイピリムマブ(同:ヤーボイ)と比較し検証したKEYNOTE-006試験の全生存期間(OS)の最終解析結果を、イスラエル・Sheba Medical CenterのJacob Schachter氏らが報告した。中間解析で示されていたOSに関するペムブロリズマブのイピリムマブに対する優越性は、最終解析でも維持されており、ペムブロリズマブの投与スケジュールによる違いは確認されなかった。著者は、「この結果は進行悪性黒色腫の標準治療として、ペムブロリズマブの使用をさらに支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年8月16日号掲載の報告。

16ヵ国87施設で約800例を登録し無作為化試験、約2年追跡
 KEYNOTE-006試験は、16ヵ国の大学・病院・がんセンター87施設で行われた多施設共同非盲検無作為化第III相試験である。2013年9月18日~2014年3月3日に、18歳以上、ECOG PS 0〜1、RECIST v1.1による測定可能病変1つ以上、全身治療歴(抗CTLA-4、PD-1、PD-L1薬は除く)1回以下、イピリムマブ未治療の、切除不能または転移性(III期/IV期)悪性黒色腫患者(ぶどう膜または眼内悪性黒色腫は除く)834例を、ペムブロリズマブ10mg/kgの2週間間隔投与(Q2W)群、10mg/kgの3週間間隔投与(Q3W)群またはイピリムマブ3mg/kgの3週間間隔投与群(最高4回投与)に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。全身ステロイド療法を必要とする活動性の脳転移または自己免疫疾患がある患者は除外された。

 主要評価項目は、intention-to-treat集団(無作為化された全患者)におけるOS(無作為化から死亡までの期間)である。奏効は、12週時、その後48週までは6週ごと、以降は12週ごとに、独立した中央判定によりRECIST v1.1に基づいて評価された。生存は12週ごとに評価され、全患者を最低21ヵ月間追跡した後に最終解析が実施された。安全性解析対象集団は、治験薬を少なくとも1回投与されたすべての無作為割り付けされた患者とした。データカットオフ日は2015年12月3日であった。

イピリムマブと比較して、ペムブロリズマブ群でOSが有意に改善
 無作為化された834例(Q2W群279例、Q3W群277例、イピリムマブ群278例)のうち、Q2W群1例およびイピリムマブ群22例が同意を取り下げて治療を受けなかったため、安全性解析対象集団は811例となった。

 追跡期間中央値22.9ヵ月において383例が死亡した。OS中央値は、ペムブロリズマブ両群で未到達、イピリムマブ群で16.0ヵ月であった。イピリムマブ群に対するハザード比(HR)は、Q2W群0.68(95%信頼区間[CI]:0.53~0.87、p=0.0009)、Q3W群0.68(0.53~0.86、p=0.0008)であった。24ヵ月OS率は、Q2W群55%、Q3W群55%、イピリムマブ群は43%であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)