未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。
48週の血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満の割合を比較
研究グループは2015年11月13日~2016年7月14日にかけて、欧州、中南米、北米の122ヵ所の外来診療所を通じて、18歳以上のHIV-1感染患者631例を対象に試験を開始した。被験者は、HIV-1感染未治療(HIV-1・RNA量:500コピー/mL以上)、
HLA-B*5701陰性、B型肝炎ウイルス陰性で、遺伝子型スクリーニングの結果、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、アバカビル感受性を示し、推定糸球体濾過量は50mL/分以上だった。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはbictegravir 50mg、エムトリシタビン200mg、テノホビル・アラフェナミド25mgを(B/F/TAF群316例)、もう一方にはドルテグラビル50mg、アバカビル600mg、ラミブジン300mgの配合薬を(対照群315例)、それぞれ1日1回144週間にわたり投与した。
無作為化は、HIV-1・RNA量(10万以下、10万超~40万以下、40万超[単位:コピー/mL])、CD4数(50個未満、50~199個、200個以上[/μL])、試験地(米国内または外)で層別化。研究者、被験者、試験治療担当者、アウトカム評価者、データ収集者は、割り付けを知らされなかった。
主要エンドポイントは、48週時点における血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満(米国FDAアルゴリズムによる定義)だった患者の割合。事前に規定した非劣性マージンは-12%だった。
悪心発現率はB/F/TAF群でより低率
解析は、試験薬を1回以上服用したB/F/TAF群314/316例、対照群315/315例を対象に行われた。
48週時点で主要エンドポイントを達成した患者の割合は、B/F/TAF群92.4%(290/314例)に対し、対照群93.0%(293/315例)で、群間差は-0.6%(95.002%信頼区間[CI]:-4.8~3.6、p=0.78)と、B/F/TAF群の非劣性が示された。
試験治療下での治療抵抗性はいずれの群でも認められなかった。有害事象の発現率や重症度は両群で類似していたが、悪心の発現率について、B/F/TAF群(10%)が対照群(23%)に比べ有意に低率だった(p<0.0001)。
試験薬関連の有害事象もB/F/TAF群が少なかった(26% vs.40%)。群間の差は、薬剤関連の悪心の発現率の有意差に起因していた(5% vs.17%、p<0.0001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)