冠動脈疾患疑い患者に有益な画像診断戦略は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/07

 

 低リスクの急性冠症候群(ACS)患者において、初期画像診断戦略としての機能的検査(ストレスエコー検査、心血管MR[CMR])の実施は、非侵襲的な解剖学的検査(冠動脈CT造影法[CCTA])と比べて、付加的検査における侵襲的な冠動脈造影検査や再血行の処置を受けることが少ないと明らかにされた。将来的な心筋梗塞リスクについて、明らかな影響はみられなかったという。一方、安定冠動脈疾患(CAD)が疑われる患者については、付加的検査における侵襲的な冠動脈造影の必要性に関して、明確な違いが初期診断戦略の間でみられず、心筋梗塞のリスクの違いでルールアウトすることもできなかった。スイス・ベルン大学病院のGeorge CM Siontis氏らによるネットワークメタ解析の検討結果で、BMJ誌2018年2月21日号で発表された。研究グループは、「診断精度に関する情報は、診断検査の有用性を結論付けるのに重要であるが、その情報が患者の利益に結びついていない可能性がある」として、今回の検討を行った。

冠動脈疾患疑い患者への非侵襲的画像検査の有用性を検証
 先行研究では、低リスクACSが疑われる患者や安定CAD患者に対して、非侵襲的画像診断法による検査が用いられているが、ダウンストリーム検査への影響や臨床的アウトカムについては不明であり、一貫した所見が示されていなかった。

 研究グループは、システマティックレビューとネットワークメタ解析により、冠動脈疾患検出のために行われた非侵襲的画像診断後の、ダウンストリーム検査、冠動脈再建術、臨床的アウトカムに関する差異を評価する検討を行った。

 MEDLINE、MEDLINE In-Process、Embase、Cochrane Library for clinical trials、PubMed、Web of Science、Scopus、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.govをデータソースに、症候性の低リスクACSもしくは安定CAD患者を対象とした、非侵襲的画像診断を比較検討した診断法についての無作為化試験を選出。ランダム効果ネットワークメタ解析により、冠動脈疾患が疑われる患者について、ダウンストリーム検査と患者志向のアウトカムへの、非侵襲的画像検査の効果を評価していた試験のエビデンスを統合し評価した。

 解析対象に組み込んだ画像診断法は、負荷心電図、ストレスエコー、SPECT-MPI、RT-MCE、CCTA、CMRである。また、11試験から未公表のアウトカムデータも入手した。

低リスクACS患者には、ストレスエコー、CMR、負荷心電図が有益
 検索により、低リスクACS患者が参加した18試験(被験者数1万1,329例)と、安定CAD疑い患者が参加した12試験(2万2,062例)を特定し、解析に包含した。

 低リスクACS患者において、ストレスエコー、CMR、負荷心電図を実施した患者は、CCTAよりも侵襲的な冠動脈造影検査を紹介されるケースが少なかった。各受診群のオッズ比(OR)は、ストレスエコー群0.28(95%信頼区間[CI]:0.14~0.57)、CMR群0.32(0.15~0.71)、負荷心電図群0.53(0.28~1.00)であった。推定値は不明確であったが、その後の心筋梗塞リスクへの影響はみられなかった。結果に関する不均一性、エビデンスの不一致に関する程度は低かった。

 安定CAD疑い患者においては、ストレスエコーもしくはSPECT-MPIの初期診断戦略が、CCTAよりも、ダウンストリーム検査を受けるケースが少なかった。オッズ比はストレスエコー群0.24(95%CI:0.08~0.74)、SPECT-MPI群0.57(0.37~0.87)であった。一方で、負荷心電図群はダウンストリーム検査を受ける割合が最も高かった(OR:3.87、95%CI:2.33~6.41)。死亡および心筋梗塞に関する推定値は不明確で、戦略間の違いを明確に判別することもできなかった。

(ケアネット)