メトホルミン継続 vs.SU薬、心血管・低血糖リスクは/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/26

 

 2型糖尿病の第2選択薬としてのSU薬の使用は、メトホルミン単独使用継続の場合と比べて、心筋梗塞、全死因死亡、および重症低血糖のリスクを増大することが示された。また、メトホルミンから完全に切り替えるよりも、上乗せ投与としたほうが安全と思われることも示されたという。カナダ・Jewish General HospitalのAntonios Douros氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、BMJ誌2018年7月18日号で発表された。SU薬に関してはこれまで、第1選択薬として、あるいは他の第2選択薬である抗糖尿病薬と比較した安全性(心血管系および低血糖)は検討されていた。今回、研究グループは、SU薬の上乗せまたは切り替えと、メトホルミン単独継続の場合を比較した安全性の評価を行った。

メトホルミン単独継続 vs.SU薬の上乗せまたは切り替えを比較
 検討は、英国内の一般診療所のデータを集めたUK Clinical Practice Research Datalinkのデータを用いて行われた。被験者は、1998~2013年にメトホルミン単独療法を開始した2型糖尿病患者。

 一般的な新規ユーザーコホートデザイン法を用いて、高次元傾向スコア、HbA1c、およびメトホルミン処方歴数に基づき、SU薬を上乗せまたは切り替えた患者と、メトホルミン単独継続患者を1対1の割合で適合抽出した。SU薬の上乗せまたは切り替え群がメトホルミン単独継続群と比較して、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管死、全死因死亡および重症低血糖のリスクが増大するかを評価した。群間比較は、Cox比例ハザードモデルを用い、試験アウトカムについてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出して行った。

SU薬の上乗せ・切り替えともリスク増大、どちらかといえば上乗せが安全
 研究期間中、メトホルミンを開始した7万7,138例のうち、SU薬の上乗せまたは切り替えを行っていたのは2万5,699例であった。

 平均追跡期間1.1年間に、SU薬投与群では、心筋梗塞(発生率7.8 vs.6.2例/1,000人年、HR:1.26、95%CI:1.01~1.56)、全死因死亡(27.3 vs.21.5、1.28、1.15~1.44)、重度の低血糖(5.5 vs.0.7、7.60、4.64~12.44)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中(6.7 vs.5.5、1.24、0.99~1.56)および心血管死(9.4 vs.8.1、1.18、0.98~1.43)もリスク増大の傾向がみられた。

 また、SU薬の上乗せ群と比較して、切り替え群では、心筋梗塞(HR:1.51、95%CI:1.03~2.24)および全死因死亡(1.23、1.00~1.50)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中、心血管死、重症低血糖については、差はみられなかった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会泉尾病院 糖尿病・内分泌内科 主任部長

J-CLEAR評議員