心房細動と心不全患者には心拍コントロールを主要戦略とすべき

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/02

 



心房細動および心不全患者の治療は、洞調律を回復し維持する方法が一般的である。これは、心房細動が心不全患者の死亡の予測因子であり、心房細動を抑制すれば転帰に有利な影響を及ぼす可能性があるというデータに基づいているが、この方法の利点とリスクについては、これまで十分に検討されなかった。カナダ・モントリオール大学心臓研究所のDenis Roy氏らAtrial Fibrillation and Congestive Heart Failure 共同研究グループは、心調律コントロールと心拍コントロールを比較検証した結果、心調律コントロールは死亡率減少に結びつかず、心拍コントロールが主要アプローチであると結論付けた。NEJM誌2008年6月19日号より。

患者1,376例を37ヵ月間にわたり追跡調査




本研究では、左室駆出率35%以下で、うっ血性心不全の症状と心房細動の既往歴を有する患者について、洞調律維持(心調律コントロール)と、心室拍動数制御(心拍コントロール)を比較する多施設共同無作為試験を行った。登録患者計1,376例を(心調律コントロール群682例、心拍コントロール群694例)、平均37ヵ月間にわたり追跡調査した。

主要評価項目は、心血管系原因による死亡までの時間とした。

主要・副次転帰とも両治療に有意差はないが




心血管系原因での死亡は、心調律コントロール群182例(27%)、心拍コントロール群175例(25%)だった(心調律コントロール群のハザード比:1.06、95%信頼区間:0.86~1.30、log-rank検定によるP=0.59)。

全死因死亡(心調律コントロール群32%、心拍コントロール群33%)、脳卒中(同じく各3%、4%)、心不全悪化(同じく各28%、31%)、心血管系原因・脳卒中または心不全悪化の複合死亡(同じく各43%、46%)であり、主要・副次転帰とも同程度だった。あらかじめ定義したサブグループでも、両治療戦略のいずれかを支持する有意差はなかった。

この結果、心房細動とうっ血性心不全の患者に対して、ルーティンに心調律コントロール治療を行っても、心拍コントロール治療より心血管原因による死亡率を低下させないことが判明したとして、「心拍コントロール戦略は、電気的除細動を繰り返す必要性を排除し、入院率を低下させる。心拍コントロールが心房細動とうっ血心不全患者のための主要なアプローチと考えるべき」と強調している。

(武藤まき:医療ライター)