腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス(RYGB)術を受けた後の、体重再増加と臨床アウトカムとの関連は、体重再増加を最大体重減少量の%値でみた場合に最も強く認められることが示された。米国・ピッツバーグ大学のWendy C. King氏らによる、RYGB術を受けた約1,400例を5年以上追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年10月16日号で発表された。RYGB術後の体重再増加には、大きなばらつきがある。研究グループは、RYGB術後の体重減少が最大に達した後に増加に転じる様子を描出し、体重再増加とアウトカムとの関連を調べた。
術後の体重再増加に関する5種類の連続測定値と、アウトカムとの関連を評価
研究グループは、米国6都市10ヵ所の医療機関で、2006年3月~2009年4月にかけて、肥満外科手術を受けた成人2,458例のうち、RYGBを受け(1,703例)、最低体重の測定記録があり5年以上の追跡を受けた1,406例(83%)を対象に分析を行った。
被験者に対する評価は、術前30日以内と術後6ヵ月、それ以降は年1回行い、2015年1月まで継続した。術後の体重再増加について、kg、BMI、術前体重に対する割合(%)、最低体重に対する割合(%)、最大体重減少量に対する割合(%)の5種類の連続測定値および、閾値を設定した8種の体重再増加指標と臨床アウトカムとの関連(統計的有意差、関連の大きさ、モデル適合)を検証した。
対最大体重減少量比、高脂血症以外の臨床アウトカムと強い関連
被験者1,406例の年齢中央値は47歳(25~75パーセンタイル:38~55)で、術前BMI中央値は46.3(同:42.3~51.8)。女性の割合は80.3%と大部分を占め、また白人は85.6%だった。追跡期間中央値は、6.6年(同:5.9~7.0)だった。
最大体重減少量の術前体重に対する割合中央値は37.4%(同:31.6~43.3)で、同発生までの期間中央値は術後2.0年(同:1.0~3.2)だった。
体重再増加率は、最低体重に達した後の1年以内が最大で、その後追跡5年時点まで増加し続けた。体重増加中央値は、最大体重減少量の9.5%(25~75パーセンタイル:4.7~17.2)から26.8%(同:16.7~41.5)へ変化した。
体重再増加者の割合は、閾値に依存していた。たとえば最低体重に達した後の5年間で、BMIが5ポイント以上増加した人の割合は43.6%、体重再増加が最低体重の15%以上だった人は50.2%、最大体重減少量の20%以上だった人は67.3%などだった。
体重再増加の連続測定値のうち、高脂血症を除く臨床アウトカムについて最も関連が強かったのは、最大体重減少量の割合でみた場合だった。高脂血症については、BMIとの関連がやや強くみられた。
体重再増加指標のうち、最大体重減少量20%以上が、ほとんどのアウトカムについて連続測定値よりも良好もしくは同程度に関連性を示した。2番目に良好な指標は、高脂血症(10kg以上の体重増加)と、高血圧症(最大体重減少量が10%以上)についてだった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)