超薄型ストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント「Supraflex」は、エベロリムス溶出耐久性ポリマーステント「Xience」と比較して、冠動脈狭窄治療のデバイス関連複合アウトカムに関して非劣性であることが示された。英国・ニューカッスル大学のAzfar Zaman氏らが、欧州23ヵ所の医療機関を通じて行った、all-comers集団対象の前向き無作為化単盲検多施設共同試験「TALENT」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年2月28日号で発表した。Supraflexのストラットは60μmで、薬剤を48日間という短期間で溶出する。FLEX-Registryで12ヵ月時点の主要有害心イベントの発生が低い(3.7%)ことが示されるなどしていたが、これまで無作為化試験は行われていなかった。結果を踏まえて著者は、「Supraflexは実臨床において、ほかの薬剤溶出ステントに代わりうる安全性と有効性を示したといえる」とまとめている。
50%以上冠動脈狭窄に埋設
研究グループは、2016年10月21日~2017年7月3日にかけて、欧州(オランダ、ポーランド、英国、スペイン、ブルガリア、ハンガリー、イタリア)の23ヵ所の医療機関を通じて試験を行った。被験者適格条件は、50%以上の冠動脈狭窄が自己冠動脈または伏在静脈グラフト、動脈バイパスグラフトに1つ以上認められ、病変部血管径が2.25~4.50mmの18歳以上の患者だった。
同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはSupraflexステントを、もう一方の群には比較対象の標準治療としてXienceを留置した。
主要評価項目は、ITT解析による留置後12ヵ月時点でのデバイスに関連した複合エンドポイント(心臓死、標的血管心筋梗塞、臨床的標的病変血行再建の必要性)に関する、SupraflexのXienceに対する非劣性だった。複合エンドポイント1年発生率を8.3%と仮定し、非劣性マージンは4.0%に設定した。
複合エンドポイント発生率、Supraflex群4.9%、Xience群5.3%
被験者総数は1,435例(2,076病変)で、Supraflex群は720例(1,046病変)、Xience群は715例(1,030病変)だった。
12ヵ月時点の主要エンドポイント発生率は、Supraflex群4.9%(35例)に対し、Xience群5.3%(37例)だった。絶対群間差-0.3%、片側95%信頼上限値1.6%であり、Supraflex群のXience群に対する非劣性が示された(非劣性のp<0.0001)。
安全性の指標としたステント血栓症発生率は、両群ともに低率で同程度だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)