進行腎細胞がんへの経口HIF-2α阻害薬belzutifan、エベロリムスと比較してPFS改善(LITESPARK-005)/ESMO2023 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2023/11/07 免疫チェックポイント阻害薬とVEGFチロシンキナーゼ阻害薬(VEGF-TKI)を含む治療歴のある進行淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)において、経口HIF-2α阻害薬belzutifanがエベロリムスと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、増悪または死亡のリスクを25%低減した。日本を含む世界172施設で実施された第III相LITESPARK-005試験の結果を、フランス・Gustave RoussyのLaurence Albiges氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。 ・対象:抗PD-1/PD-L1抗体とVEGF-TKIを含む1~3レジメンの治療歴のある、切除不能・局所進行または転移を有するccRCC患者(Karnofsky performance statusスコア70%以上) ・試験群(belzutifan群):belzutifan(120mg、1日1回経口投与) 374例 ・対照群(エベロリムス群):エベロリムス(10mg、1日1回経口投与) 372例 ・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS)、盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS [副次評価項目]BICRによる奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など ・層別化因子:IMDC分類(低リスク/中リスク/高リスク)、VEGF/VEGFR-TKI治療歴(1/2~3) 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時における年齢中央値はbelzutifan群62歳vs.エベロリムス群63歳、IMDC分類は低リスク:21.1% vs.22.3%/中リスク:66.6% vs.65.6%/高リスク:12.3% vs.12.1%、VEGF/VEGFR-TKI治療歴は2~3ラインが50.0% vs.48.9%を占めた。 ・1回目の中間解析(追跡期間中央値18.4ヵ月)における、BICRによるPFS中央値は、belzutifan群5.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.8~6.5) vs.エベロリムス群5.6ヵ月(95%CI:4.8~5.8)で、belzutifan群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.63~0.90、p<0.001)。OS中央値は21.0ヵ月(95%CI:17.2~24.3) vs.17.2ヵ月(95%CI:15.3~19.0)でbelzutifan群で良好な傾向がみられ(HR:0.87、95%CI:0.71~1.07、p=0.096)、解析は継続中。ORRは21.9% vs.3.5%とbelzutifan群で有意に高かった(p<0.00001)。 ・2回目の中間解析(追跡期間中央値25.7月)における、PFS、OS、ORRは1回目の中間解析結果と一致していた。またDOR中央値は、19.5ヵ月vs.13.7ヵ月でbelzutifan群で良好だった。 ・Grade3以上の治療関連有害事象発生率は38.7% vs.39.4%で、belzutifan群で新たな安全性プロファイルは報告されていない。 ・患者報告アウトカムであるFKSI-DRSおよびQLQ-C30はともにbelzutifan群で良好だった。 ディスカッサントを務めた英国・St George's University HospitalsのLisa Pickering氏は、約50%の患者に2~3ラインのVEGF-TKI治療歴があり、80%近い患者がIMDC分類で中~高リスクであったことに触れ、OSの最終解析結果を待ちたいが、プラクティス・チェンジングな試験となることを期待すると述べた。belzutifanについては、1次治療、2次治療、そして術後補助療法における第III相試験が進行中。 (ケアネット 遊佐 なつみ) 参考文献・参考サイトはこちら LITESPARK-005試験(ClinicalTrials.gov) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 VHL病の腎細胞がんにbelzutifanが有効/NEJM ジャーナル四天王(2021/12/06) レンバチニブ+ペムブロリズマブの腎がん1次治療、4年超でも生存改善を維持(CLEAR)/ASCO2023 医療一般(2023/07/10) 腎細胞がん、ニボルマブ+イピリムマブによるアジュバント療法のサブグループ解析(CheckMate 914)/ASCO2023 医療一般(2023/06/27) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ニルマトレルビル・リトナビル、曝露後予防の効果なし/NEJM(2024/07/26) 卵巣がんリスク、卵巣子宮内膜症/深部子宮内膜症では9.7倍/JAMA(2024/07/26) 日本人で増加傾向の口腔がん、その最大要因とはー診療ガイドライン改訂(2024/07/26) HR+/HER2-進行乳がん1次治療、リアルワールドでのパルボシクリブ+フルベストラント/+AIの効果/日本乳癌学会(2024/07/26) 日本の精神科ガイドライン著者におけるCOI分析(2024/07/26) 感謝の気持ちは寿命を延ばす(2024/07/26) ベンゾジアゼピン系薬剤は認知症リスクを上げるか(2024/07/26) [ あわせて読みたい ] IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08)