限局性前立腺がん、前立腺全摘は排尿・性機能に悪影響/JAMA

限局性前立腺がん患者について、現行の治療法に関連する機能的変化のほとんどは5年後までに軽減するが、前立腺全摘術は他の選択肢と比較し、5年間で臨床的に尿失禁が悪化すること、高リスク患者では前立腺全摘術により、外照射放射線療法(EBRT)+アンドロゲン除去療法(ADT)併用療法と比較し5年時の性機能が悪化することが明らかにされた。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのKaren E. Hoffman氏らが、低リスクおよび高リスクの限局性前立腺がん患者に対する現行の治療法について、有害な影響を理解することは治療選択の際に役立つと考えられるとして行った前向きコホート研究の結果を、JAMA誌2020年1月14日号で発表した。
5年間の機能転帰を治療法別に比較検討
研究グループは、5つのSurveillance, Epidemiology and End Results(SEER)プログラムおよび米国前立腺がん登録を用い、2011~12年に前立腺がんと診断された低リスク(cT1~cT2bN0M0、PSA≦20ng/mL、グレード分類1~2)患者1,386例と、高リスク(cT2cN0M0、PSA 20~50ng/mL、グレード分類3~5)患者619例について2017年9月まで調査した。低リスク患者には、積極的な監視療法(363例)、神経温存前立腺全摘術(675例)、EBRT(261例)、低線量率小線源療法(87例)が、高リスク患者では前立腺全摘術(402例)、EBRT+ADT併用療法(217例)が行われた。
主要評価項目は、限局性前立腺がん患者の特異的QOL尺度であるEPIC-26(0~100点)に基づく、治療5年後の自己報告による機能アウトカムとした。回帰モデルによりベースラインの機能、患者および腫瘍特性を補正し、臨床的に重要な最小変化量は性機能10~12、尿失禁6~9、排尿刺激症状5~7、排便およびホルモン機能4~6とした。
解析対象は、ベースラインおよびベースライン後最低1回の調査を完遂した計2,005例(年齢中央値64歳)であった。
限局性前立腺がんに対する現行の各治療法は多くの機能悪化と関連
低リスク前立腺がん患者では、神経温存前立腺全摘術は監視療法と比較し、5年時の尿失禁(補正平均差:-10.9、95%信頼区間[CI]:-14.2~-7.6)および3年時の性機能(補正平均差:-15.2、95%CI:-18.8~-11.5)の悪化が示された。小線源療法は監視療法と比較し、1年時の排尿刺激症状(補正平均差:-7.0、95%CI:-10.1~-3.9)、性機能(-10.1、-14.6~-5.7)、排便機能(-5.0、-7.6~-2.4)の悪化と関連が認められた。
EBRTは監視療法と比較し、5年間のどの時点においても尿機能、性機能、排便機能の変化に臨床的な差は確認されなかった。
高リスク前立腺がん患者では、EBRT+ADT併用療法は前立腺全摘術と比較して、6ヵ月時のホルモン機能(補正平均差:-5.3、95%CI:-8.2~-2.4)、1年時の排便機能(-4.1、-6.3~-1.9)が低下したが、5年時の性機能(12.5、6.2~18.7)および5年間の各時点での尿失禁(23.2、17.7~28.7)は改善することが示された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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限局性前立腺癌、治療法に対するQOL調査:各治療に伴う機能的な差は治療5年で目立たなくなる(解説:宮嶋哲氏)-1174
コメンテーター : 宮嶋 哲( みやじま あきら ) 氏
東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学 主任教授