膝OA、ゾレドロン酸の年1回投与は有効か/JAMA

骨髄病変を有する症候性の変形性膝関節症者の治療では、ゾレドロン酸の年1回投与はプラセボと比較して、2年後の軟骨量減少の改善効果に差はないことが、オーストラリア・タスマニア大学のGuoqi Cai氏らの検討「ZAP2試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年4月21日号に掲載された。変形性膝関節症患者では、ゾレドロン酸の静脈内投与により膝の痛みや骨髄病変の大きさが低減することが、原理証明研究で示唆されているが、大規模臨床試験のデータはないという。
年1回で2回投与の効果を比較するプラセボ対照無作為化試験
本研究は、オーストラリアの4施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2013年11月~2015年9月の期間に患者登録が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成による)。対象は、年齢50歳以上、直近の1ヵ月間のほとんどの日に膝関節痛(100mm視覚アナログ尺度[VAS]疼痛スコア≧40mm)がみられ、リウマチ専門医の判定で米国リウマチ学会の症候性変形性膝関節症の基準を満たし、MRIで軟骨下の骨髄病変が認められた患者であった。
被験者は、ベースラインと12ヵ月後に、ゾレドロン酸(100mL生理食塩水に5mg含有)を静脈内注入する群またはプラセボ(100mL生理食塩水)群に無作為に割り付けられた。
主要アウトカムは、24ヵ月後のMRIによる脛骨大腿骨の軟骨量の絶対変化とした(臨床的に意義のある最小変化量[MCID]は確立されていない)。
また、事前に規定された副次アウトカムは、24ヵ月後のVAS疼痛スコア(0[痛みがない]~100[耐え難い痛み]点)による膝関節痛の変化(MCID:15点)、およびWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)の疼痛スコア(0[痛みがない]~500[耐え難い痛み]点)による膝関節痛の変化(MCID:75点)と、24ヵ月後の骨髄病変の量の変化(MCIDは未確立)であった。
3つの副次アウトカムにも差はない
223例(平均年齢62.0[SD 8.0]歳、女性117例[52%])が登録され、190例(85%)が試験を完遂した。予算の制限により、予定のサンプルサイズ(264例)には達しなかった。ゾレドロン酸群に比べプラセボ群は、ベースラインの平均膝関節痛スコア(VAS:47.7点vs.54.5点、WOMAC:180.8点vs.219.9点)が高く、脛骨大腿骨の軟骨量(1万6,994mm3 vs.1万6,039mm3)が少ない傾向がみられた。
ベースラインから24ヵ月後までに、脛骨大腿骨の軟骨量は平均で、ゾレドロン酸群が878mm3、プラセボ群は919mm3、それぞれ減少した。群間差は41mm3(95%信頼区間[CI]:-79~161)で、有意な差は認められなかった(p=0.50)。
また、3つの副次アウトカムにも有意差はみられなかった。24ヵ月後のVAS疼痛スコアの変化は、ゾレドロン酸群-11.5点vs.プラセボ群-16.8点(群間差:5.2点、95%CI:-2.3~12.8、p=0.17)、WOMAC疼痛スコアの変化は、-37.5点vs.-58.0点(20.5点、-11.2~52.2、p=0.21)、骨髄病変の量の変化は-33mm2 vs.-6mm2(-27mm2、-127~73、p=0.60)であった。
1つ以上の有害事象は、ゾレドロン酸群が96%、プラセボ群は83%で発現した。急性期反応(発熱、筋骨格系・消化器・眼などの症状で、投与後3日以内に消散)は、ゾレドロン酸群が87%、プラセボ群は56%にみられ、このうちゾレドロン酸群で最も頻度が高かったのは筋骨格系の痛みやこわばり(70% vs.30%)で、次いで発熱(52% vs.8%)、頭痛/めまい(42% vs.26%)の順であった。これらの症状は、両群とも、2回目の投与後には発現が低下した。
著者は、「これらの知見は、変形性膝関節症患者の治療において、軟骨量減少の緩徐化を目的としたゾレドロン酸の使用を支持しない」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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