80歳以上の高齢の高血圧患者、降圧薬を1剤減らしても非劣性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/04

 

 2種類以上の降圧薬を服用し、収縮期血圧値が150mmHg未満の80歳以上の高齢患者について、医師が判断のうえで降圧薬を1種類減らしても通常どおりの治療を続けた患者と比べて、12週後の血圧コントロールに関して非劣性であることが示された。英国・オックスフォード大学のJames P. Sheppard氏らが、英国69ヵ所のプライマリケア診療所を通じ、569例を対象に行った試験で明らかにした。多剤併用および複数疾患が並存する高齢者に対して、治療継続のベネフィットが有害性に勝らない場合は、降圧薬の処方を見直すことが推奨されている。著者は、「今回の結果は、高血圧の高齢者患者集団において、降圧薬の減薬が血圧コントロールに実質的な影響はもたらさないことを示すものであった。なおさらなる研究を行い、長期的な臨床アウトカムを明らかにする必要はある」とまとめている。JAMA誌2020年5月26日号掲載の報告。

高齢患者の12週後の収縮期血圧値150mmHg未満の割合を比較

 研究グループは、降圧薬の減薬が、収縮期血圧コントロールや有害イベント発生の有意な変化をもたらす可能性はあるのかないのかを明らかにするため、2017年4月~2018年9月にかけて、英国69ヵ所のプライマリケア診療所を通じ、569例の患者を対象に、無作為化非盲検・非劣性試験「OPTIMISE」(The Optimising Treatment for Mild Systolic Hypertension in the Elderly)を開始し、2019年1月まで追跡した。

 被験者は、収縮期血圧値が150mmHg未満で、2種以上の降圧薬を服用しており、プライマリケア医が降圧薬の減薬について適切と判断した80歳以上の高血圧の高齢患者だった。

 被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、一方の群については1種類の降圧薬服用を中止とした(減薬群282例)。もう一方の群では、降圧薬の減薬を義務付けずに通常のケアを行った(通常ケア群287例)。

 主要アウトカムは、12週時点で収縮期血圧値が150mmHg未満の被験者の割合とした。事前に規定した非劣性マージンは、相対リスク(RR)が0.90。副次アウトカムは、減薬を維持した被験者の割合、血圧値や虚弱の程度、QOL、有害イベント、重篤有害イベントの差などだった。

高血圧の高齢患者の減薬群86.4%は通常ケア群87.7%と同等

 被験者である569例の高血圧の高齢患者の平均年齢は84.8歳、女性は48.5%(276例)で、ベースラインで処方されていた降圧薬数の中央値は2種だった。試験を完了したのは、534例(93.8%)だった(減薬群265例、通常ケア群269例)。

 12週時点で収縮期血圧が150mmHg未満だった被験者の割合は、通常ケア群87.7%(236例)に対して、減薬群は86.4%(229例)だった。補正後RRは0.98(97.5%片側信頼区間[CI]:0.92~∞)で、減薬群の非劣性が確認された。また、副次アウトカムについて、7つのうち5つで有意差は示されなかった。

 減薬群において、12週時点で降圧薬の減数が維持されていた被験者は、187例(66.3%)だった。ベースラインから12週までの収縮期血圧値の平均変化値は、減薬群が通常ケア群に比べ3.4mmHg(95%CI:1.1~5.8)上回っていた。

 1件以上の重篤有害事象の発生は、減薬群12例(4.3%)、通常ケア群7例(2.4%)で認められた(補正後RR:1.72、95%CI:0.7~4.3)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来