CABGの10年転帰、橈骨動脈vs.伏在静脈グラフト/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/07/27

 

 冠動脈バイパス術(CABG)を行う際、橈骨動脈グラフトの使用は伏在静脈グラフトに比べ、複合心血管アウトカムの発生リスクは低いことを、米国・Weill Cornell MedicineのMario Gaudino氏らが、5件の無作為化比較試験(被験者総数1,036例、追跡期間中央値10年)についてメタ解析を行い明らかにした。これまで、観察試験では、橈骨動脈グラフト使用のほうが伏在静脈グラフト使用よりも、臨床的アウトカムを改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験では確認されていなかった。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。

5ヵ国、5試験を対象にメタ解析

 研究グループは、CABGを受けた患者における長期追跡後の橈骨動脈グラフトvs.伏在静脈グラフトの臨床的アウトカムを比較するため、MEDLINE、Embaseを基にシステマティック・レビューを行い、被験者レベルのプール解析を行った。

 検索により774試験を抽出し、38試験の試験結果全文をレビュー。適格基準を満たした、オーストラリア、イタリア、セルビア、韓国、英国の5ヵ国で行われた5試験についてメタ解析を行った。被験者の試験への参加は1997~2009年で、追跡完了は2019年だった。

 主要アウトカムは、複合アウトカム(死亡、心筋梗塞、再血行再建術)で、副次アウトカムは死亡または心筋梗塞とした。

1,036例を中央値10年間追跡

 被験者総数は1,036例で、無作為化により橈骨動脈グラフトによるCABGを行ったのは534例、伏在静脈グラフトは502例だった。平均年齢は、橈骨動脈グラフト群66.6歳、伏在静脈グラフト群67.1歳で、男性の割合はそれぞれ70.4%と69.9%だった。無作為化を受けた被験者のうち、10年間の追跡を完了したのは90.9%(942例)だった。

 追跡期間中央値10年(四分位範囲:10~11)で、主要アウトカム発生が認められたのは、橈骨動脈グラフト群220例(41/1,000人年)、伏在静脈グラフト群237例(47/1,000人年)で、橈骨動脈グラフト群が有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.61~0.88、p<0.001)。

 副次アウトカムの死亡または心筋梗塞の発生も、188例(35/1,000人年)vs.193例(38/1,000人年)と橈骨動脈グラフト群で有意に低率だった(HR:0.77、95%CI:0.63~0.94、p=0.01)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)