敗血症性ショックの患者に対する、アスコルビン酸+コルチコステロイド+チアミンの3剤併用投与は、プラセボと比較して、試験登録後72時間におけるSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアを統計学的に有意に低下しないことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAri Moskowitz氏らによる無作為化試験「ACTS試験」の結果、報告された。先行研究により、3剤併用投与は潜在的な治療法であることが見いだされていたが、著者は今回の試験結果を踏まえて「敗血症性ショック患者に対する3剤併用のルーチン使用は支持されない」と述べている。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。
3剤併用vs.プラセボの無作為化試験、72時間のSOFAスコアで評価
研究グループは、アスコルビン酸+コルチコステロイド+チアミンの3剤併用投与が、敗血症性ショックの患者における臓器損傷を軽減するかどうかを、多施設共同の無作為化盲検プラセボ対照試験で評価した。
2018年2月9日~2019年10月27日に、米国の14施設で敗血症患者205例を登録し、2019年11月26日まで追跡調査した。
被験者は無作為に、非経口アスコルビン酸(1,500mg)+ヒドロコルチゾン(50mg)+チアミン(100mg)を6時間ごとに4日間投与する群(介入群、103例)、または同時に同一量のプラセボを投与する群(プラセボ群、102例)に割り付けられた。
主要評価項目は、試験登録~72時間のSOFAスコア(範囲:0~24、0=最良)の変化。主要な副次評価項目は、腎不全、30日死亡率などであった。少なくとも1用量の治験薬を投与された患者を解析対象とした。
SOFAスコアの補正後群間差-0.8ポイント、統計学的有意差なし
無作為化を受けた被験者205例(平均年齢68[SD 15]歳、女性90例[44%])のうち、200例(98%)が少なくとも1用量の治験薬を投与され試験を完了した(介入群101例、プラセボ群99例)。
全体として、試験登録後72時間のSOFAスコアに関して、時間と治療グループ間に統計学的に有意な相互作用はみられなかった。平均SOFAスコアの変化は、介入群が9.1ポイントから4.4ポイント(-4.7ポイント)、プラセボ群は9.2ポイントから5.1ポイント(-4.1ポイント)であった(補正後群間差:-0.8、95%信頼区間[CI]:-1.7~0.2、相互作用のp=0.12)。
腎不全の発生率(介入群31.7% vs.プラセボ群27.3%、補正後リスク差:0.03、95%CI:-0.1~0.2、p=0.58)、30日死亡率(34.7% vs.29.3%、ハザード比:1.3、95%CI:0.8~2.2、p=0.26)はいずれも有意な差は認められなかった。最も頻度が高かった重篤有害事象は、高血糖症(介入群12例vs.プラセボ群7例)、高ナトリウム血症(11例vs.7例)、新規の院内感染(13例vs.12例)であった。
(ケアネット)