気管支拡張症患者において、brensocatib投与による好中球セリンプロテアーゼ活性の低下は気管支拡張症の臨床アウトカムを改善することが、英国・Ninewells Hospital and Medical SchoolのJames D. Chalmers氏らが行った、投与期間24週の第II相無作為化プラセボ対照用量範囲試験で示された。気管支拡張症患者は、好中球性炎症に関連すると考えられる増悪を頻繁に起こす。好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼの活性と数量は、ベースラインで気管支拡張症患者の喀痰中で増加し、さらに増悪によって増大することが知られる。brensocatib(INS1007)は、開発中の経口可逆的ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)阻害薬で、DPP-1は好中球セリンプロテアーゼの活性に関与する酵素である。NEJM誌オンライン版2020年9月7日号掲載の報告。
brensocatib治療群とプラセボ投与群で初回増悪までの期間を評価
試験は14ヵ国116施設で行われ、被験者は、前年に少なくとも2回の増悪を呈した18~85歳の気管支拡張症患者であった。
研究グループは被験者を、プラセボ投与群、brensocatib 10mg群、brensocatib 25mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回、24週間投与した。
初回増悪までの期間(主要エンドポイント)、増悪頻度(副次エンドポイント)、喀痰中の好中球エラスターゼ活性、および安全性を評価した。
brensocatib治療群は初回増悪までの期間を有意に延長した
256例が無作為化を受け、87例がプラセボを、82例がbrensocatib 10mgを、87例が同25 mgをそれぞれ投与された。
初回増悪までの期間の25パーセンタイル値は、プラセボ群67日、brensocatib 10mg群134日、同25mg群96日であった。brensocatib治療群は、プラセボ群と比較して初回増悪までの期間が有意に延長した(10mg群対プラセボのp=0.03、25mg群対プラセボのp=0.04)。
brensocatib群とプラセボ群を比較した増悪に関する補正後ハザード比は、10mg群で0.58(95%信頼区間[CI]:0.35~0.95、p=0.03)、25mg群で0.62(95%CI:0.38~0.99、p=0.046)であった。プラセボ群と比較した発生率比は、10mg群0.64(95%CI:0.42~0.98、p=0.04)、25mg群0.75(95%CI:0.50~1.13、p=0.17)であった。
24週の治療期間中、brensocatib群はいずれの用量群とも喀痰中の好中球エラスターゼ活性のベースラインからの低下が認められた。なお、とくに注目される歯および皮膚の有害事象の発生は、プラセボと比べてbrensocatibの両用量群で高かった。
(ケアネット)