18~22歳、29~46歳時の月経周期の乱れ(不規則でサイクル期間が長い)は、70歳未満の早期死亡リスクの増大と関連することが明らかにされた。同関連は喫煙女性で、わずかだが強いことも示されたという。米国・ハーバード大学医学大学院のYi-Xin Wang氏らが、同国の看護師を対象とした前向きコホート試験「Nurses’ Health Study(NHS、看護師健康調査)II」の被験者約8万例を対象に行った大規模試験で明らかにした。不規則で長期の月経周期は、生殖年齢の女性においてよくみられ、主要な慢性疾患リスクの上昇と関連していることが知られている。一方でそのエビデンスは脆弱であった。BMJ誌2020年9月30日号掲載の報告。
14~17歳、18~22歳、29~46歳時の月経期間・規則性と早期死亡の関連を検証
研究グループは、一生涯を通じた不規則で長期間の月経周期が、全死因死亡と関連しているかどうか、また、特定の早期(70歳未満)死亡を引き起こすかどうかを評価する検討を行った。
1993~2017年にNHS IIに参加し、心血管疾患、がん、糖尿病の既往がなく、14~17歳、18~22歳、29~46歳時の月経期間とその周期の規則性に関する情報を得られた女性7万9,505例を対象とした。
全死因死亡と特定の早期(70歳未満)死亡の発生について、多変量Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算して評価した。
18~22歳、29~46歳時の月経不規則群、規則群に比べ早期死亡リスクは約1.4倍
追跡期間24年間に発生した早期死亡は1,975例で、死因はがんが894例、心血管疾患が172例だった。
同一年齢範囲群において、常に月経周期が不規則だった女性(月経不規則群)の追跡期間中の死亡率は、月経周期がきわめて規則的だった女性(月経規則群)に比べ高かった。1,000人年当たりの補正前死亡率は、14~17歳時の月経規則群1.05、同月経不規則群1.23であり、18~22歳時の月経規則群1.00、同月経不規則群1.37、29~46歳時の月経規則群1.00、同月経不規則群1.68だった。
追跡期間中の早期死亡に関する多変量補正後HRは、14~17歳時の月経不規則群vs.同月経規則群で1.18(95%CI:1.02~1.37)、18~22歳時の月経不規則群vs.同月経規則群では1.37(1.09~1.73)、29~46歳時の月経不規則群vs.同月経規則群では1.39(1.14~1.70)だった。
これらの関連性は、心血管疾患による早期死亡で最も強かった。長期で不規則な月経周期と早期死亡リスク増大の関連性は、現喫煙者でわずかだが強く認められた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)