85歳以上の女性は、同年齢の男性よりも認知症の発症リスクが高い。これには、内因性エストロゲンの影響が示唆されている。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJenna Najar氏らは、内因性エストロゲンが認知症リスクに及ぼす影響を調査するため、縦断的研究を行った。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2020年6月23日号の報告。
スウェーデン・ヨーテボリ市在住の自然閉経後の女性1,364例を追跡した(追跡期間:1968~2012年)。内因性エストロゲン(初潮年齢、閉経年齢、妊娠回数、母乳育児の月数)に関する情報は、1968~1992年のインタビューより収集した。認知症の診断は、神経精神医学的検査および情報提供者のインタビューによる情報に基づいて確立された基準に従い実施した。
主な結果は以下のとおり。
・生殖期間の長さは、認知症リスク増加との関連が認められた。
●認知症 年間ハザード比(HR):1.06(95%信頼区間[CI]:1.03~1.20)
●アルツハイマー病 年間HR:1.06(95%CI:1.02~1.11)
・生殖期間の長さと認知症リスク増加との関連は、とくに85歳以上で認められた。
●認知症 年間HR:1.10(95%CI:1.04~1.17)
●アルツハイマー病 年間HR:1.15(95%CI:1.06~1.26)
著者らは「認知症の症例数が最も多い85歳以上において、女性は男性よりも認知症発症リスクが高く、このことに内因性エストロゲンが関連している可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)