進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用投与は、スニチニブ投与に比べ、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長したことが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert Motzer氏らが、1,069例を対象に行った第III相無作為化試験「CLEAR試験」の結果を報告した。レンバチニブ+ペムブロリズマブまたはエベロリムスについては、進行腎細胞がんに対する活性が認められているが、これらのレジメンのスニチニブとの比較による有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年2月13日号掲載の報告。
レンバチニブ+ペムブロリズマブ、レンバチニブ+エベロリムス、スニチニブを比較
試験は、進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者1,069例を対象とした。
被験者を無作為に、(1)レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、静脈投与)、(2)レンバチニブ(18mg、1日1回経口投与)+エベロリムス(5mg、1日1回経口投与)、(3)スニチニブ(50mg、1日1回経口投与、4週間投与+2週間非投与)の3群に1対1対1の割合で割り付けた。
主要評価項目はPFSで、固形がんの治療効果判定基準「RECIST」バーション1.1に基づき、独立した審査委員会が評価した。OSと安全性についても、評価を行った。
対スニチニブで、レンバチニブ+ペムブロリズマブはPFSが有意に延長、OSも
1,069例は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群に355例(年齢中央値64歳、男性71.8%)、レンバチニブ+エベロリムス群に357例(62歳、74.5%)、スニチニブ群に357例(61歳、77.0%)、それぞれ無作為に割り付けられた。
PFS中央値は、スニチニブ群9.2ヵ月に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群は23.9ヵ月と、有意に延長した(増悪または死亡に関するハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.32~0.49、p<0.001)。レンバチニブ+エベロリムス群も14.7ヵ月と、スニチニブ群に比べ有意に延長した(0.65、0.53~0.80、p<0.001)。
またOS期間も、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群がスニチニブ群より有意に延長した(死亡に関するHR:0.66、95%CI:0.49~0.88、p=0.005)。一方でレンバチニブ+エベロリムス群のOS期間は、スニチニブ群と比べて延長が認められなかった(1.15、0.88~1.50、p=0.30)。
治療中に発生または増悪したGrade3以上の有害事象の発生率は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群が82.4%、レンバチニブ+エベロリムス群が83.1%、スニチニブ群が71.8%だった。いずれの群の10%以上の患者で発生したGrade3以上の有害事象は、高血圧症、下痢、リパーゼ値の上昇などだった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)