レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/28

 

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。

英国の全般/分類不能てんかんの無作為化第IV相非劣性試験

 研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。

 2013年4月~2016年8月の期間に、英国国民保健サービス(NHS)の69施設で、年齢5歳以上(上限なし)、治療を要する非誘発性てんかん発作が少なくとも2回認められ、臨床的に全般てんかんまたは分類不能てんかんと診断され、登録前の2週間に緊急治療を除き抗けいれん薬治療を受けていない参加者の募集が行われた。

 被験者は、レベチラセタムまたはバルプロ酸の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、2年間の追跡が行われた。参加者と担当医はマスクされず、試験薬の割り付け情報を認識していた。

 520例が登録され、レベチラセタム群に260例、バルプロ酸群に260例が割り付けられた。全体の年齢中央値は13.9歳(範囲:5.0~94.4)、女性が183例(35%)で、397例が全般てんかん、123例は分類不能てんかんであった。全例がintention-to-treat(ITT)解析に含まれた。重大なプロトコル違反や、後にてんかんではないと診断された参加者を除外したper-protocol(PP)集団は、509例(レベチラセタム群254例、バルプロ酸群255例)だった。

女性でのバルプロ酸回避の議論を進めるべき

 ITT解析では、12ヵ月の時点におけるてんかん発作の寛解(主要評価項目)に関して、レベチラセタム群はバルプロ酸群に対する非劣性の基準(非劣性マージン:1.314)を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.19、95%信頼区間[CI]:0.96~1.47)。

 一方、PP解析では、12ヵ月時の発作寛解について、バルプロ酸群のレベチラセタム群に対する優越性(HR:1.68、95%CI:1.30~2.15)が示された。この試験は非劣性を検出するものだが、優越性を示すようにもデザインされていた。

 2例(両群1例ずつ)が死亡したが、いずれも試験薬との関連はなかった。有害事象は、バルプロ酸群が96例(37%)、レベチラセタム群は107例(42%)で報告された。レベチラセタム群で精神症状(14% vs.26%)が多く、バルプロ酸群では体重増加(10% vs.3%)が多くみられた。

 費用効用分析では、バルプロ酸群が優位であった。すなわち、費用対効果の閾値を1 QALY当たり2万ポンドとした場合のレベチラセタム群の増分純健康便益は、-0.040 QALY(95%中央範囲[central range]:-0.175~0.037)とマイナスであり、この閾値でレベチラセタム群の費用対効果が優れる確率は0.17であった。

 著者は、「男性では、全般てんかんの第一選択薬は引き続きバルプロ酸とすべきである。女性では、将来の妊娠における潜在的な有害性のリスクを最小化するために、最も有効な治療の回避に関して、実臨床と施策に有益な情報をもたらす議論をさらに進めるべきと考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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