mRNAワクチン、初回接種後2週間は要注意/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/03

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチンは、2回接種により症候性感染と重症化に対する高い有効性が認められることが示された。ただし、1回接種の場合、とくに高齢者では接種直後は有効性が低かった。カナダ・ICESのHannah Chung氏らが、診断陰性例コントロール試験の結果、明らかにしたもので、結果を踏まえて著者は、「mRNAワクチンの症候性感染に対する効果は、1回接種では中程度であることから、とくに初回接種後最初の2週間(高齢者ではさらに長い期間)は効果がないこと、マスク着用や物理的距離、社会的な集まりを避けるなどの推奨されている公衆衛生対策を継続して行うべきであることを、人々に伝える必要がある」と指摘している。BMJ誌2021年8月20日号掲載の報告。

有症者約32万例でmRNAワクチンの有効性を評価

 研究グループは、SARS-CoV-2の症候性感染および重症化に対するワクチンの有効性を検証する目的で、診断陰性例コントロール試験を実施した。対象は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状があり2020年12月14日~2021年4月19日にSARS-CoV-2検査を受けた16歳以上のオンタリオ州の住民32万4,033例であった。

 主要評価項目は、RT-PCR法による症候性SARS-CoV-2感染(検査陽性)、ならびに症候性感染の重症化(入院または死亡)で、検査データはOntario Laboratories Information System、アウトカムはCase and Contact Management system、Canadian Institute for Health Information's Discharge Abstract DatabaseおよびOntario Registered Persons Database、ワクチン接種状況はオンタリオ州の一元化されたCOVID-19ワクチン情報システムであるCOVaxONを用いて特定した。なお、対象ワクチンは、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)およびmRNA-1273(Moderna製)とし、ChAdOx1(Oxford-AstraZeneca製)の接種者は除外した。

 多変量ロジスティック回帰モデルを用い、検査陽性例と検査陰性例(ワクチン未接種者を参照群とする)でワクチン接種状況を比較した。

高い効果が得られるのは初回接種後14日以降、2回目接種後7日以降

 症状があり検査を受けた32万4,033例中、5万3,270例(16.4%)が検査陽性で、2万1,272例(6.6%)は少なくとも1回のワクチン接種を受けていた。検査陽性例のうち、2,479例(4.7%)が入院(2,035例)または死亡(444例)した。

 1回目のワクチン接種後14日以降に確認された症候性感染に対するワクチンの有効性は60%(95%信頼区間[CI]:57~64)であり、14~20日後は48%(41~54)であったが、35~41日後には71%(63~78)に上昇した。一方、2回目のワクチン接種後7日以降に確認されたワクチンの有効性は91%(89~93)であった。

 1回目のワクチン接種後14日以降に確認された入院または死亡に対するワクチンの有効性は70%(95%CI:60~77)であり、1回目接種14~20日後は62%(44~75)であったが、35日以降には91%(73~97)に上昇した。一方、2回目のワクチン接種後7日以降に確認された同ワクチンの有効性は98%(88~100)であった。

 70歳以上の成人では、1回目接種後の期間が短い間はワクチンの有効性が低く、28日後以降で若年者の14日後以降に相当する有効性が得られた。また、2回接種後は、E484K変異(ガンマ株)に対して高い有効性を示すことが確認された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)