新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)について、6ヵ月間でワクチンの有効性は徐々に低下するものの安全性プロファイルは良好であり、COVID-19予防効果は高い。米国・ニューヨーク州立大学のStephen J. Thomas氏らが、現在進行中の国際共同無作為化観察者盲検プラセボ対照第II/III相試験の結果を報告した。BNT162b2ワクチンは現在、世界各国で承認、条件付き承認または緊急使用が正式に認められているが、最初の認可の時点で接種後2ヵ月を超えるデータは得られていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。
16歳以上の4万4,165例、12~15歳の2,264例で、プラセボと比較
研究グループは2020年7月27日~10月29日の期間に、152施設(米国130、アルゼンチン1、ブラジル2、南アフリカ4、ドイツ6、トルコ9)において、健康または安定慢性疾患を有する16歳以上の4万4,165例を、また2020年10月15日~2021年1月12日の期間に米国の29施設にて12~15歳の2,264例を、BNT162b2ワクチン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、1回30μgを21日間隔で2回接種した。
安全性評価項目は、接種後7日間の局所反応・全身性イベント・解熱剤の使用、初回接種後から2回目接種後1ヵ月後までに発生した自発的な有害事象、初回接種後から2回目接種後1ヵ月後および6ヵ月後までに発生した重篤な有害事象とし、少なくとも1回接種を受けた16歳以上の参加者を対象に解析した。
有効性評価項目は、2回目接種後7日以内の血清学的またはウイルス学的SARS-CoV-2陰性参加者、および過去の感染の有無に関係ない参加者における、2回目接種後7日以上経過後の検査で確認されたCOVID-19感染で、少なくとも1回接種を受けた12歳以上のすべての参加者を解析対象とした。
BNT162b2ワクチンの6ヵ月間の有効性は91.3%、安全性は良好
BNT162b2の安全性は良好で、有害事象プロファイルは許容可能なものであった。重篤な有害事象や試験中止に至った有害事象はほとんどなかった。
初回接種後以降、BNT162b2群で2万1,926例中15例(0.068%)、プラセボ群で2万1,921例中14例(0.064%)の死亡が認められたが、死因は両群で一致しており、BNT162b2に関連した死亡はなかった。
SARS-CoV-2感染陰性で評価可能な12歳以上の4万2,094例において、データカットオフ日(2021年3月13日)までに2回目接種後7日以上経過後のCOVID-19発症例は、BNT162b2群で77例、プラセボ群で850例であり、有効率は91.3%(95%信頼区間[CI]:89.0~93.2)であった。
期間別に見たBNT162b2の有効率は、2回目接種後7日~2ヵ月未満で96.2%(95%CI:93.3~98.1)、2回目接種後2~4ヵ月未満で90.1%(86.6~92.9)、2回目接種後4ヵ月~データカットオフ日までで83.7%(74.7~89.9)であった。
重症のCOVID-19に対するBNT162b2の有効性は、96.7%であった(95%CI:80.3~99.9)。
本試験ではサブグループ別の有効性を評価する検出力はなかったが、年齢、性別、人種・民族、併存疾患の有無、国別のサブグループにおける2回目接種後のBNT162b2の有効性は、全体集団とおおむね一致していた。また、懸念されているSARS-CoV-2変異株B.1.351(またはβ株)が確認された南アフリカにおいて、ワクチン有効性は100%(95%CI:53.5~100)であることが示された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)