mRNA-1273ワクチン(Moderna製)は、2回接種後5ヵ月以上にわたり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症および重症化の予防に有効で、無症候性感染も減少した。米国・Baylor College of MedicineのHana M. El Sahly氏らが、mRNA-1273ワクチンの安全性および有効性を検証した無作為化観察者盲検プラセボ対照第III相試験における盲検期の最終解析結果を報告した。mRNA-1273ワクチンは、この試験の中間解析で有効率94.1%を示し、緊急使用が許可された後、プロトコールが修正され非盲検期が追加されていた。NEJM誌オンライン版2021年9月22日号掲載の報告。
約3万人を対象にmRNA-1273ワクチンの有効性と安全性を評価
研究グループは、2020年7月27日~10月23日の期間に、米国の99施設において、SARS-CoV-2感染の既往がなく、SARS-CoV-2に感染するリスクが高いあるいは重症化するリスクが高い18歳以上の参加者を、mRNA-1273(100μg)群またはプラセボ群に1対1の割合に割り付け、28日間隔で2回筋肉注射した。
主要評価項目は、SARS-CoV-2感染歴がない参加者における2回目接種後14日以降でのCOVID-19発症予防とし、有効性の評価は盲検下で独立判定委員会が行った。データカットオフ日は、2021年3月26日であった。
3万415例が登録され、mRNA-1273群1万5,209例、プラセボ群1万5,206例に割り付けられた。
約5ヵ月間のCOVID-19予防効果は93.2%、重症化予防効果は98.2%
参加者の96%以上が2回の接種を受け、2.3%がベースラインでSARS-CoV-2感染が確認された。盲検期の追跡期間中央値は5.3ヵ月で、COVID-19は799例確認され、プラセボ群が744例(5.3%)、mRNA-1273群が55例(0.4%)であった。mRNA-1273のCOVID-19発症予防効果は93.2%(95%信頼区間[CI]:91.0~94.8)、発症頻度はmRNA-1273群が9.6例/1,000人年(95%CI:7.2~12.5)、プラセボ群が136.6例/1,000人年(95%CI:127.0~146.8)であった。
重症COVID-19の予防効果は98.2%(95%CI:92.8~99.6)で、重症例はmRNA-1273群で2例、プラセボ群で106例であった。接種後14日以降の無症候性感染例はmRNA-1273群214例、プラセボ群498例で、無症候性感染予防効果は63.0%(95%CI:56.6~68.5)であった。mRNA-1273の有効性は、人種/民族、年齢、併存疾患等にかかわらず一貫していた。安全性に関する懸念は認められなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)