COVID-19に対して承認された2回接種のmRNAワクチン2種(BNT162b2[Pfizer-BioNTech]とmRNA-1273[Moderna])の、リアルワールドにおける生産年齢成人への接種の有効性を調べた結果が報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMark G. Thompson氏らが、医療現場の第一線従事者3,975例への接種について調べた前向きコホート試験の結果で、2回接種後14日以上経過した場合の有効率は91%、1回接種後14日以上経過した場合でも81%と、いずれも高い有効性が示されたという。承認されたmRNAワクチン2種のリアルワールドにおける有効性に関する情報は限定的であったが、試験の結果を踏まえて著者は、「リアルワールドの生産年齢成人において、承認済みワクチンは、SARS-CoV-2感染の予防において非常に有効で、またワクチンを接種したにもかかわらず感染症を呈した同成人の、ウイルスRNA負荷、発熱症状リスクおよび罹患期間を軽減した」と述べている。NEJM誌オンライン版6月30日号掲載の報告。
医療従事者、消防士、エッセンシャルワーカーなどを対象に試験
研究グループは2020年12月14日~2021年4月10日にかけて、医療従事者、消防士・警察官などのファーストレスポンダー、およびその他のエッセンシャルワーカーや第一線従事者3,975例を対象に試験を行った。被験者は、毎週、中鼻甲介スワブの採取により、定量的・定性的リアルタイムPCR検査を受けた。
ワクチン有効率は、100%×(1-ワクチン接種者の非接種者に対するSARS-CoV-2感染に関するハザード比)で算出。ワクチン接種の傾向や試験の実施場所、職業、地域のウイルス流行性などで補正を行った。
感染者のウイルスRNA量もワクチン1回接種者で40%減
SARS-CoV-2が検出されたのは204例(全被験者の5%)で、そのうち完全ワクチン接種者(2回目接種から14日以上経過)は5例、不完全ワクチン接種者(1回目接種から14日以上経過、2回目接種から14日未満)が11例、非ワクチン接種者は156例だった。なお、1回目接種から14日未満だった32例については除外した。
補正後ワクチン有効率は、完全ワクチン接種者で91%(95%信頼区間[CI]:76~97)、不完全ワクチン接種者でも81%(64~90)だった。
SARS-CoV-2感染者において、平均ウイルスRNA量は、完全・不完全ワクチン接種者で非ワクチン接種者に比べ、40%少なかった(95%CI:16~57)。また、発熱症状リスクも58%低く(相対リスク:0.42、95%CI:0.18~0.98)、罹患期間も短く、病状が悪く寝ていた期間は平均2.3日(95%CI:0.8~3.7)短かった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)