急性低酸素性呼吸不全(AHRF)患者において、従来の低容量人工換気(low-tidal-volume mechanical ventilation)と比較して、体外式二酸化炭素除去装置(ECCO2R)を用いた超低容量人工換気は、90日死亡率を改善しないことが、英国・クイーンズ大学ベルファストのJames J. McNamee氏らによる多施設共同無作為化非盲検実用的臨床試験「REST試験」で示された。機械的人工換気を必要とするAHRFにおいて、従来の低容量換気よりも1回換気量をさらに減少することで、転帰が改善する可能性が考えられていた。JAMA誌2021年9月21日号掲載の報告。
1回換気量≦3mL/kgと6mL/kgを比較
研究グループらは、2016年5月~2019年12月の期間に、英国の集中治療部門51施設において、中等度~重度のAHRFで人工換気を受けている患者412例を登録し(予定症例数は1,120例)、少なくとも48時間のECCO
2Rを用いて1回換気量を段階的に減少し超低容量(≦3mL/kg予測体重)とする群(ECCO
2R群)(202例)、または従来の低容量換気(6mL/kg予測体重)を行う標準治療群(210例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目は無作為化後90日の全死因死亡。事前に規定された副次評価項目は28日時点の人工呼吸器離脱期間および有害事象等であった。
本試験は、予定された中間解析に基づき、独立データモニタリング/倫理委員会が無益性および実現性を理由に試験の中止を勧告したことから、2020年2月11日に試験が中止された(追跡調査は2020年3月11日に終了)。
90日死亡率は41.5% vs.39.5%
無作為化された412例(平均年齢59歳、女性143例[35%])のうち、405例(98%)が試験を完遂した。
90日死亡率は、ECCO
2R群41.5%、標準治療群39.5%であった(リスク比:1.05[95%信頼区間[CI]:0.83~1.33]、群間差:2.0%[95%CI:-7.6%~11.5%]、p=0.68)。人工呼吸器離脱期間は、ECCO
2R群のほうが標準治療群より有意に短かった(平均7.1日[95%CI:5.9~8.3]vs.9.2日[7.9~10.4]、平均群間差:-2.1[95%CI:-3.8~-0.3]、p=0.02)。
重篤な有害事象は、ECCO
2R群で62例(31%)、標準治療群で18例(9%)報告され、頭蓋内出血が9例(4.5%)vs.0例(0%)、その他の部位の出血が6例(3.0%)vs.1例(0.5%)などであった。また、ECCO
2Rに関連した重篤な有害事象は、21例に22件認められた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)