免疫不全患者の急性呼吸不全、高流量vs.標準酸素療法/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/05

 

 急性低酸素血症呼吸不全(AHRF)を呈した免疫不全患者において、高流量鼻カニューレ酸素療法は標準酸素療法と比較して、28日死亡率を有意に低下しないことが示された。フランス・Hopital St-LouisのElie Azoulay氏らが行った多施設共同無作為化試験の結果で、JAMA誌オンライン版2018年10月24日号で発表された。高流量酸素療法は、AHRFに対する使用が増えている。研究グループは、免疫不全AHRF患者において、高流量鼻カニューレ酸素療法が標準酸素療法と比較して死亡率を低下するかを確認した。

AHRFを呈する免疫不全成人患者を対象に、28日死亡率を評価
 試験は2016年5月19日~2017年12月31日に、フランス国内32のICUで行われた。適格被験者は、AHRF(室内気でPaO2<60mmHgもしくはSpO2<90%、>30回/分の頻呼吸あるいは努力呼吸もしくは呼吸困難、必要酸素流量≧6L/分)を呈した免疫不全成人患者であった。

 被験者を無作為に1対1の割合で割り付け、高流量酸素療法(介入群)または標準酸素療法(対照群)を継続した。主要評価項目は、28日死亡率。副次評価項目は、28日時点までの挿管人工呼吸管理発生、挿管後3日間のPaO2/FiO2比、呼吸数、ICU入室・入院の期間、ICU感染、患者の快適さおよび呼吸困難などであった。

群間の有意差は認められず
 778例(年齢中央値64歳[IQR:54~71]、女性259例[33.3%])が無作為化を受け、776例(99.7%、各群388例)が試験を完遂した。無作為化時点で、呼吸数中央値は、介入群33回/分(IQR:28~39)vs.対照群32回/分(27~38)、PaO2/FiO2比はそれぞれ136(96~187)vs.128(92~164)であった。SOFAスコア中央値は、両群とも6(IQR:4~8)であった。

 28日死亡率は、介入群35.6%、対照群36.1%で群間の有意差はなかった(群間差:-0.5%[95%信頼区間[CI]:-7.3~6.3]、ハザード比[HR]:0.98[95%CI:0.77~1.24]、p=0.94)。

 挿管率は、介入群38.7% vs.対照群43.8%で群間の有意差はなかった(群間差:-5.1%[95%CI:-12.3~2.0])。PaO2/FiO2比は、介入群で有意に高く(150 vs.119、群間差:19.5[95%CI:4.4~34.6])、6時間後呼吸数は、介入群で有意に低下した(25 vs.26回/分、群間差:-1.8回/分[95%CI:-3.2~-0.2])。

 ICU入室期間(8 vs.6日、群間差:0.6[95%CI:-1.0~2.2])、ICU感染(10.0 vs.10.6%、-0.6[-4.6~4.1])、入院期間(24 vs.27日、-2[-7.3~3.3])、また患者の快適さおよび呼吸困難は、いずれも有意差は観察されなかった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 小林 英夫( こばやし ひでお ) 氏

防衛医科大学校 内科学講座 准教授

J-CLEAR推薦コメンテーター