非弁膜症性心房細動で脳卒中リスク因子が1つ以上ある成人に対し、早期カルディオバージョンの実施率は約15%と低いものの、同実施を受けた患者の死亡リスクは有意に低いことが示された。また、直流カルディオバージョンの実施率は薬物的カルディオバージョンの約2倍に上ったが、主要アウトカムは両者で同等であることも示された。ノルウェー・オスロ大学のMarita Knudsen Pope氏らが、5万例超の患者情報が前向きに収集されていたレジストリデータ「GARFIELD-AF(Global Anticoagulant Registry in the FIELD-AF)」を解析し明らかにした。BMJ誌2021年10月27日号掲載の報告。
35ヵ国1,317ヵ所からの5万例超の患者データを解析
GARFIELD-AFレジストリデータには、35ヵ国1,317ヵ所を通じて、6週間以内に非弁膜症性心房細動の診断を受け、1つ以上の脳卒中リスク因子が認められた成人患者5万2,057例のデータが登録されていた。
研究グループは、同レジストリデータを基にベースラインにおけるカルディオバージョンの実施者と非実施者、直流カルディオバージョン実施者と薬物的カルディオバージョン実施者について、それぞれアウトカムを比較する観察試験を行った。
臨床エンドポイントは、全死因死亡、非出血性脳卒中または全身性塞栓症、大出血で、Cox比例ハザードモデルによるオーバーラップ傾向スコア加重法で比較した。ベースラインのリスクと患者選別で補正を行った。
カルディオバージョン群の死亡リスク、1年後まで0.74倍、1~2年後は0.77倍
カルディオバージョン実施群と非実施群の比較解析には、4万4,201例が包含された。そのうち、ベースラインでカルディオバージョンを実施した被験者は、6,595例(14.9%)だった。
カルディオバージョン群の傾向スコア加重後の全死因死亡に関するハザード比(HR)は、ベースラインからの1年間のフォローアップ期間中が0.74(95%信頼区間[CI]:0.63~0.86)、1~2年のフォローアップ期間中が0.77(0.64~0.93)だった。
ベースラインでカルディオバージョンを実施した6,595例のうち、299例が登録後48日を超えてから再度カルディオバージョンを受けていた。
直流または薬物的カルディオバージョンの比較解析には、7,175例が包含された。そのうち直流カルディオバージョンを受けたのは4,748例(66.2%)、薬物的カルディオバージョンを受けたのは2,427例(33.8%)だった。フォローアップ1年間の全死因死亡率は、直流カルディオバージョン群が1.36/100患者年(95%CI:1.13~1.64)、薬物的カルディオバージョン群が1.70/100患者年(1.35~2.14)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)