未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者において、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+prednisone)よりも、抗CD79b抗体薬物複合体・ポラツズマブ-ベドチン+R-CHP療法(pola-R-CHP療法)を受けた患者のほうが、2年時点の病勢進行・再発・死亡の複合リスクが約27%低かったことが示された。フランス・Centre Henri-BecquerelのH. Tilly氏らが、879例を対象に行った国際的な第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年12月14日号で発表した。DLBCLに対しては通常R-CHOP療法が行われるが、治癒が期待できるのは60%のみであった。
DLBCL患者を対象にpola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較
研究グループは、未治療で中等度~高度リスクの18~80歳のDLBCL患者を対象に、従来R-CHOP療法と、pola-R-CHP療法を比較する検討を行った。
被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、pola-R-CHP療法またはR-CHOP療法をそれぞれ6サイクル、その後リツキシマブを2サイクル投与した。
主要評価項目は、研究者の評価による無増悪生存(PFS)。副次アウトカムは、全生存(OS)および安全性とした。
推定PFS率はR-CHOP療法70.2%でpola-R-CHP療法76.7%
被験者数は全体で879例(pola-R-CHP療法群440例、R-CHOP療法群439例)。追跡期間中央値28.2ヵ月後のマイルストーン解析で、2年時点の推定PFS率はR-CHOP療法群70.2%(95%信頼区間[CI]:65.8~74.6)に対し、pola-R-CHP療法群は76.7%(72.7~80.8)だった。
2年時点の無イベント生存率は、pola-R-CHP療法群がR-CHOP療法群よりも低く、Cox回帰分析による病勢進行、再発、死亡に関する層別ハザード比(HR)は、0.73(95%CI:0.57~0.95、p=0.02)だった。また、2年時点のOS率については、両群間で有意差はみられず、pola-R-CHP療法群88.7%(95%CI:85.7~91.6)、R-CHOP療法群88.6%(85.6~91.6)だった(HR:0.94、95%CI:0.65~1.37、p=0.75)。
安全性プロフィールは、pola-R-CHP療法群とR-CHOP療法群で類似していた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)