再発・難治のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)は近年、CAR-T細胞療法や薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンなどの新薬が登場し、治療成績は向上しているが、それらの治療を経ても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。新たに開発されているglofitamabは、CD20(B細胞)に二価性、CD3(T細胞)に一価性を与える新たな2:1構成のT細胞結合二重特異性抗体薬である。このglofitamabの第II相試験の結果について、オーストラリア・メルボルン大学のMichael Dickinson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。
再発・難治のDLBCL患者においてglofitamabの完全奏効率は39.4%
・対象:2ライン以上の前治療歴のある再発・難治のDLBCL患者
・試験群:オビヌツズマブ(1,000mg)の前治療後、glofitamabを8日目2.5mg、15日目10mg、2サイクル目から目標用量30mgで投与。21日ごとに最大12サイクル。
・評価項目:
[主要評価項目]独立審査委員会(IRC)によるCR(完全奏効)率
[副次評価項目]奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など
主な結果は以下のとおり。
・再発・難治のDLBCL患者155例が組み込まれた(年齢中央値66[21-90]歳、男性65%)。60%が3回以上の前治療、33%がCAR-T治療を受けていた。
・ほとんどの再発・難治のDLBCL患者がCD20 抗体を含む前治療(86%)に抵抗性で、CAR-T療法(30%)抵抗性の患者も含まれた。
・追跡期間中央値12.6ヵ月後、ORRは51.6%(95%信頼区間[CI]:43.5~59.7)、CR率は39.4%(95%CI:31.6~47.5)だった。CAR-T療法による前治療のあり・なしでCR率に大きな差はなかった(35%対42%)。
・CRまでの期間中央値は42(41~48)日だった。
・PFS中央値は4.9(95%CI:3.4~8.1)ヵ月、OS中央値は11.5(95%CI:7.9~15.7)ヵ月だった。
・有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が63%で発生したが、ほとんどがGrade1(48%)または 2(12%)だった。感染症(39%、Grade3以上は15%)、好中球減少症(38%、同27%)などが比較的多く見られたが、治療中止につながるものは稀だった。
これらの結果を踏まえ、著者らは「glofitamabは前治療に耐性のある再発・難治のDLBCLにおいて有用性を示し、新たな治療薬として期待できる」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)