高リスク外来コロナ患者、レムデシビル早期3日間投与で入院リスク低減/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/07

 

 疾患進行リスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の非入院患者において、レムデシビルによる3日間の外来治療は、安全性プロファイルは許容可能であり、プラセボに比べ入院/死亡リスクは87%低かった。米国・ベイラー大学メディカルセンターのRobert L. Gottlieb氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GS-US-540-9012(PINETREE)試験」の結果を報告した。レムデシビルは、中等症~重症のCOVID-19入院患者の臨床転帰を改善することが示唆されていたが、疾患進行リスクが高い症候性COVID-19の非入院患者における入院予防効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年12月22日号掲載の報告。

発症7日以内、疾患進行リスクを有する外来患者を対象にプラセボ対照試験

 研究グループは、COVID-19発症後7日以内で、疾患進行リスク因子(60歳以上、肥満、併存症がある)を1つ以上有する非入院患者を、レムデシビル群(1日目200mg、2日目および3日目100mg、静脈内投与)またはプラセボ群に無作為に割り付けた。

 有効性の主要評価項目は、28日目までのCOVID-19に起因する入院または全死因死亡の複合、副次評価項目は28日目までのCOVID-19に関連した医療機関の受診または全死因死亡の複合、安全性の主要評価項目はあらゆる有害事象とした。

レムデシビル早期導入により入院/死亡のリスクが87%低下

 2020年9月18日~2021年4月8日に、米国、スペイン、デンマーク、英国の64地点で患者の登録が行われた。解析対象は、無作為化され少なくとも1回のレムデシビルまたはプラセボの投与を受けた562例(レムデシビル群279例、プラセボ群283例)。平均年齢は50歳、女性47.9%、ヒスパニック系またはラテン系41.8%であった。高頻度にみられた併存疾患は糖尿病(61.6%)、肥満(55.2%)、高血圧(47.7%)であった。

 主要評価項目のイベントは、レムデシビル群で2例(0.7%)、プラセボ群で15例(5.3%)確認された(ハザード比[HR]:0.13、95%信頼区間[CI]:0.03~0.59、p=0.008)。副次評価項目である28日目までのCOVID-19に関連した医療機関の受診は、レムデシビル群で1.6%(4/246例)、プラセボ群で8.3%(21/252例)発生した(HR:0.19、95%CI:0.07~0.56)。28日目までに死亡した患者はいなかった。

 有害事象は、レムデシビル群で42.3%、プラセボ群で46.3%に認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)