初期無症候性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された家庭内濃厚接触者に対し、皮下投与によるカシリビマブ+イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法はプラセボと比較し、28日間の症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクを有意に低下する。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、314例を対象に行った第III相無作為化試験の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2022年1月14日号掲載の報告。
ベースラインで血清反応陰性者の発症率を比較
研究グループは2020年7月13日~2021年1月28日にかけて、米国、ルーマニア、モルドバ共和国の112ヵ所の医療機関を通じて、SARS-CoV-2感染者の家庭内濃厚接触者314例を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。被験者は無症状の12歳以上で、定量的逆転写PCR(RT-qPCR)検査結果の陽性者(SARS-CoV-2感染者の検査実施から96時間以内に特定)。追跡は2021年3月11日まで行われた。
被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはカシリビマブ+イムデビマブ(1,200mg、各抗体薬600mgずつ)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ1回皮下投与した。
主要エンドポイントは、ベースライン血清反応陰性者における、28日間の症候性COVID-19を呈した被験者の割合だった。主な有効性の副次エンドポイントは、症候性SARS-CoV-2感染の期間(週)およびウイルス量高値(4 log
10コピー/mL超)を示した期間(週)だった。
有症状期間を発症者1人当たり約5.6日短縮
被験者314例(平均年齢41.0歳、女性は51.6%)のうち、310例(99.7%)が有効性に関する評価を完了した。ベースラインで血清反応陰性かつ無症状だったのは204例だった。
カシリビマブ+イムデビマブ1,200mgの皮下投与は、症候性疾患への進行を有意に予防した。症候性COVID-19を呈したのはカシリビマブ+イムデビマブ群は29/100例(29.0%)、プラセボ群44/104例(42.3%)で、オッズ比は0.54(95%信頼区間[CI]:0.30~0.97、p=0.04)、絶対リスク群間差は-13.3%(95%CI:-26.3~-0.3)だった。
カシリビマブ+イムデビマブは、症候性期間(週)を有意に短縮(895.7週/1,000人vs.プラセボ群1,637.4週/1,000人、p=0.03)。これは、症状を呈した被験者1人当たり約5.6日の短縮に相当した。
また、カシリビマブ+イムデビマブは、ウイルス量高値の期間(週)も有意に短縮した(489.8週/1,000人vs.プラセボ群811.9週/1,000人、p=0.001)。
なお、1つ以上の治療関連有害事象の発生率は、カシリビマブ+イムデビマブ群33.5% vs.プラセボ群48.1%であり、そのうちCOVID-19に関連したものは、それぞれ25.8% vs.39.7%、関連していないものは11.0% vs.16.0%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)