治療歴のある免疫性血小板減少症に対し、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬rilzabrutinibの有効性と安全性が、第I-II相の国際非盲検用量設定試験で確認された。評価した全用量で血小板反応性が認められ、毒性効果は報告されたがいずれも低グレードだった。米国・マサチューセッツ総合病院のDavid J. Kuter氏らによる検討で、NEJM誌2022年4月14日号で発表された。rilzabrutinibは、マクロファージ(Fcγ受容体)を介した血小板破壊の抑制と病原性自己抗体産生の抑制という2つの作用機序によって、免疫性血小板減少症の患者の血小板数を増加させる可能性が示唆されていた。
用量漸増法を用いて4用量について安全性と血小板反応性を評価
治療歴のある免疫性血小板減少症患者に対するrilzabrutinib治療の評価は適応的デザイン法にて行われ、個人内用量漸増法を用いてrilzabrutinibを24週間経口投与した。
開始用量は4段階で、200mgを1日1回、400mgを1日1回、300mgを1日2回、400mgを1日2回とした。
主要エンドポイントは、安全性と血小板反応性。血小板反応性は、血小板数が少なくとも2回連続で50×10
3/mm
3以上、かつレスキュー薬なしでベースラインから20×10
3/mm
3以上増加と定義した。
血小板反応性は全体で40%、血小板数50×103/mm3以上到達まで11.5日
試験には60例が登録され、ベースラインの血小板数中央値は15×10
3/mm
3、罹病期間中央値は6.3年、これまでに受けた免疫性血小板減少症治療の中央値は4種類だった。
治療関連の有害イベントは、いずれもGrade1または2で一過性だった。Grade2以上の治療関連出血または血栓イベントは報告されなかった。
治療期間中央値167.5日(範囲:4~293)時点で、主要エンドポイントの血小板反応性が認められたのは、全体では24/60例(40%)であり、rilzabrutinibの最高用量開始群では18/45例(40%)だった。
また、最初に血小板数50×10
3/mm
3以上に到達するまでの期間中央値は、11.5日だった。主要血小板反応性が認められた患者において、血小板数50×10
3/mm
3以上の週が占めた割合は平均65%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)