2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)に対して国内承認された選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、CLL初回治療においても有効性が認められたという。オハイオ州立大学のJohn C Byrd氏らの研究によるもので、Blood誌2021年3月30日号オンライン版に掲載された。
CLLは白血病の中で、リンパ系幹細胞が比較的時間をかけてがん化するものを指す。日本においては10万人あたり0.2人(2008年調査)と比較的稀な疾患だ。現在、CLL初回治療として承認されたBTK阻害薬にイブルチニブがあるが、アカラブルチニブとは有害事象の出現の特性が異なるとされ、アカラブルチニブが承認されれば治療の選択肢が広がることとなる。
本試験は、単群第I/II相臨床試験(ACE-CL-001)であり、未治療で化学療法不適のCLL患者99例が登録された。患者の年齢中央値は64歳、Rai分類ステージIII~IV期が47%だった。アカラブルチニブ200mgを1日1回、または100mgを1日2回、進行または忍容性がなくなるまで経口投与した。
主な結果は以下のとおり。
・99例中57例(62%)は免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)陰性、12例(18%)はTP53遺伝子異常があった。
・追跡期間中央値53ヵ月時点で85例が治療を継続しており、14例の中止理由は有害事象(AE)6例、病状進行3例などだった。
・全奏効率は97%(部分奏効90%、完全奏効7%)で、すべての予後不良サブグループでも同様の結果が得られた。
・100mg投与でBTK占有率が改善されたため、全患者が100mgに移行した。
・重篤な AE は38 例(38%)で報告され、中止となった6例の内訳は二次原発がん(4例)と感染症(2例)だった。Grade3以上のイベントは、感染症(15%)、高血圧(11%)、出血性イベント(3%)、心房細動(2%)などだった。
著者らは、本試験におけるアカラブルチニブの持続的な有効性と長期的な安全性は、症状のある未治療のCLL患者の臨床管理におけるアカラブルチニブの使用を支持するものである、としている。
(ケアネット 杉崎 真名)