妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/20

 

 妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦において、遠隔モニタリングによる自己血圧測定は通常ケアと比較して、臨床的高血圧の早期発見にはつながらなかった。英国・オックスフォード大学のKatherine L. Tucker氏らが、無作為化非盲検試験「Blood Pressure Monitoring in High Risk Pregnancy to Improve the Detection and Monitoring of Hypertension trial:BUMP 1試験」の結果を報告した。血圧上昇の不十分な管理は、妊産婦死亡の重要な要因である。一般集団における自己血圧測定は高血圧の診断および管理を改善することが示されているが、妊娠中の血圧自己測定の使用についてはほとんど知られていなかった。JAMA誌2022年5月3日号掲載の報告。

妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦2,441例、自己血圧測定+通常ケアvs.通常ケア

 研究グループは2018年11月~2019年10月の期間に、英国の2次医療機関15施設の産科病棟において、妊娠16~24週で妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦2,441例を、遠隔モニタリングによる自己血圧測定+通常ケア(介入群)、または遠隔モニタリングによる血圧を利用できない通常の妊婦ケアのみ(通常ケア群)のいずれかの群に無作為に割り付けた(追跡期間終了2020年4月)。

 介入群(1,223例)では、週3回、血圧を自己測定した。毎回2回測定し、2回目の測定値を手動で研究用アプリを通じて提出してもらい、測定値が高かった場合は3回目の測定が要求され、3回目の測定値も上昇していた場合は産科に連絡するよう促された。通常ケア群(1,218例)では、必要に応じて(合併症がない場合、妊娠中に7回以上)産科クリニックを受診し、妊娠ケアチームによる血圧測定を受けた。

 主要評価項目は、無作為化から「臨床的高血圧」が最初に記録されるまでの期間の両群間の差である。「臨床的高血圧」は、医療従事者によって記録された持続性の血圧140/90mmHg以上(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上のいずれか、または両方)と定義した。

臨床的高血圧の診断までの期間に両群で有意差なし

 無作為化された妊婦2,441例の背景は平均(±SD)年齢33±5.6歳、妊娠20±1.6週で、2,346例(96%)が試験を完遂した。

 無作為化から「臨床的高血圧」が最初に記録されるまでの期間(平均±SD)は、介入群が104.3±32.6日、通常ケア群106.2±32.0日で、両群に有意差は認められなかった(平均群間差:-1.6日、95%信頼区間[CI]:-8.1~4.9、p=0.64)。

 試験期間中に重篤な有害事象が18例報告されたが(介入群12例[1%]、通常ケア群6例[0.5%])、介入に関連すると判断されるものはなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)