ワクチン3回目、異種・同種接種での有効性~メタ解析/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/09

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのあらゆるプライマリ接種におけるブースター接種にはmRNAワクチンが推奨されること、異種・同種ワクチンの接種を問わず3回接種レジメンが、種々の変異株のCOVID-19予防に比較的有効であることを、中国・香港大学のWing Ying Au氏らが、システマティック・レビューとネットワークメタ解析の結果、報告した。ただし、3回接種レジメンのCOVID-19関連死への有効性については不明なままだったとしている。BMJ誌2022年5月31日号掲載の報告。

ワクチン有効性、SUCRAスコアを比較

 研究グループは、ブースター接種の有無を含む異種・同種COVID-19ワクチンレジメンのCOVID-19感染、入院および死亡に対する予防効果を評価するシステマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。

 世界保健機関(WHO)の38のCOVID-19データベースについて、2022年3月から毎週検索を行う方法(Living systematic review)にて、COVID-19ワクチンの同種または異種レジメンの有効性について評価した試験を抽出した。ブースター接種の有無は問わなかった。

 解析対象としたのは、ワクチン接種群と非接種群について、症候性や重症COVID-19、COVID-19関連の入院や死亡数を記録した試験だった。

 主要評価項目は、ワクチンの有効性で、1-オッズ比で算出し評価。副次評価項目は、surface under the cumulative ranking curve(SUCRA)スコアとペアワイズ比較の相対的効果だった。

 バイアスリスクについては、非無作為化介入試験バイアスリスク評価ツール「ROBINS-I」を、無作為化比較試験については、コクランバイアスリスク評価ツール「ROB-2」を用いて評価した。

mRNAワクチン3回接種、免疫不全でも高い有効性

 53試験を対象に、初回解析を行った。COVID-19ワクチンレジメンの24の比較のうち、mRNAワクチン3回接種が、非症候性・症候性COVID-19感染に対し最も有効だった(ワクチン有効性:96%、95%信頼区間[CI]:72~99)。

 アデノウイルスベクターワクチン2回接種+mRNAワクチン1回接種の異種ブースター接種の非症候性・症候性COVID-19感染に対する有効性は88%(95%CI:59~97)と良好なワクチン効果が認められた。また、mRNAワクチン2回の同種接種の、重症COVID-19に対する有効性は99%(79~100)だった。

 mRNAワクチン3回接種は、COVID-19関連入院においても最も有効だった(有効率:95%、95%CI:90~97)。mRNAワクチン3回接種者における死亡に対する有効性は、交絡因子により不明確だった。

 サブグループ解析では、3回接種レジメンは、高齢者(65歳以上)を含むすべての年齢群で同程度の有効性が認められた。mRNAワクチンの3回接種レジメンは、免疫低下の有無にかかわらず比較的良好に機能することが認められた。

 同種・異種のワクチン3回接種レジメンは、COVID-19変異株(アルファ、デルタ、オミクロン)のいずれに対しても、感染予防効果が認められた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)