新規抗体薬litifilimab、皮膚エリテマトーデスの疾患活動性を改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/10

 

 皮膚エリテマトーデス患者の治療において、血液樹状細胞抗原2(BDCA2)のヒト化モノクローナル抗体製剤litifilimabはプラセボと比較して、治療開始から16週間後の皮膚疾患活動性の改善効果が優れ、有害事象の発生状況は同程度であることが、米国・ペンシルベニア大学のVictoria P. Werth氏らが実施した「LILAC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年7月28日号で報告された。

世界54施設の無作為化第II相試験

 LILAC試験は、皮膚エリテマトーデス患者の治療におけるlitifilimabの有効性と安全性の評価を目的とする16週の二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2016年10月~2019年11月の期間に、アジア、欧州、中南米、米国の54施設で参加者の登録が行われた(米国Biogenの助成による)。

 対象は、年齢18~75歳、全身症状の有無にかかわらず、生検で組織学的に皮膚エリテマトーデスと確定され、活動性の皮膚エリテマトーデス(皮膚エリテマトーデス疾患面積・重症度指数-活動性[CLASI-A]尺度[0~70点、点数が高いほど活動性が高い]のスコアが8点以上)を有する患者であった。

 被験者は、litifilimabの3つの用量(50mg、150mg、450mg)またはプラセボを、0週、2週、4週、8週、12週目に皮下投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは、ベースラインから16週までのCLASI-Aスコアの変化の割合(%)とされた。用量反応モデルを用いて、4群における反応の有無が評価された。また、安全性の評価も行われた。

より大規模でより長期の試験が必要

 132例が登録され、litifilimab 50mg群に26例(平均年齢43.3歳、女性77%)、同150mg群に25例(43.6歳、80%)、同450mg群に48例(44.0歳、75%)、プラセボ群に33例(43.4歳、91%)が割り付けられた。各群のベースラインの平均CLASI-Aスコアは、それぞれ15.2点、18.4点、16.5点、16.5点であった。全身性エリテマトーデス(SLE)を併存する患者が、それぞれ42%、48%、42%、42%含まれた。

 CLASI-Aスコアのベースラインから16週までの変化率の最小二乗平均(LSM)は、litifilimab 50mg群が-38.8%、150mg群が-47.9%、450mg群が-42.5%、プラセボ群は-14.5%と、いずれも改善されたが、プラセボ群では改善の程度が小さかった。

 したがって、16週時におけるCLASI-Aスコアのベースラインからの変化率の、プラセボ群との差のLSMは、litifilimab 50mg群が-24.3ポイント(95%信頼区間[CI]:-43.7~-4.9)、150mg群が-33.4ポイント(-52.7~-14.1)、450mg群は-28.0ポイント(-44.6~-11.4)であった。3つの用量とプラセボについて最適な用量反応モデルを用いて主解析を行ったところ、いずれの用量でも、プラセボとの比較で有意な効果が確認された。

 一方、副次エンドポイントの多くは、主解析の結果を支持しなかった。

 有害事象は、litifilimab群(3用量群99例)の72%、プラセボ群の67%で発現し、多くは軽度~中等度であった。頻度の高い有害事象として、鼻咽頭炎(litifilimab群10%、プラセボ群6%)、頭痛(9%、9%)、注射部位紅斑(9%、3%)、SLE(7%、12%)、関節痛(6%、6%)、上気道感染症(6%、3%)などが認められた。重篤な有害事象は、litifilimab群が7例(7%)、プラセボ群は3例(9%)で発現した。

 litifilimab群では、過敏症が3例、口腔ヘルペス感染症が3例、帯状疱疹感染症が1例でみられ、litifilimabの最終投与から4ヵ月後に1例で帯状疱疹髄膜炎が発生した。

 著者は、「皮膚エリテマトーデスの治療におけるlitifilimabの効果と安全性を明らかにするには、より大規模でより長期の試験を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら

Werth VP, et al. N Engl J Med. 2022;387:321-331.