AMI救急患者、層別化と迅速フォローでアウトカム改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/24

 

 救急外来を受診した急性心筋梗塞患者について、臨床医の入退院の意思決定を支援するために病院ベースで開発したポイント・オブ・ケア(POC)アルゴリズムを用いて患者を層別化し、高リスク患者は入院させ、低リスク患者については外来で迅速にフォローアップをすることで、通常ケアと比較し、30日以内のあらゆる死亡および心血管系入院の複合リスクの有意な低下(補正後ハザード比[HR]:0.88)が示された。カナダ・トロント大学のD. S. Lee氏らが、10病院を対象に行ったステップウェッジクラスター無作為化試験「COACH試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月5日号掲載の報告。

通常ケアフェイズから介入フェイズへクロスオーバー試験

 研究グループは、救急外来を受診した急性心筋梗塞の成人患者について、POCアルゴリズムの使用と外来での迅速なフォローアップがアウトカムに影響するかを検討する試験を行った。カナダ・オンタリオ州の10病院を、通常治療(対照)フェイズと介入フェイズをクロスオーバーして順次開始する無作為に割り付け、被験者にPOCアルゴリズムを使い、死亡リスクにより層別化。介入フェイズでは、低リスク患者は3日以内に退院し、標準化された外来ケアを受けた。高リスク患者は、入院した。

 主要アウトカムは、30日以内の全死因死亡または心血管入院の複合アウトカム、および20ヵ月以内の同複合アウトカムだった。

20ヵ月以内アウトカムも、介入フェイズでわずかだが改善

 被験者数は5,452例で、対照フェイズが2,972例、介入フェイズが2,480例だった。

 30日以内の全死因死亡または心血管入院の発生は、対照フェイズ430例(14.5%)に対し介入フェイズ301例(12.1%)だった(補正後HR:0.88、95%信頼区間[CI]:0.78~0.99、p=0.04)。

 20ヵ月以内の主要アウトカムの累積発生率は、対照フェイズ56.2%(95%CI:54.2~58.1)、介入フェイズ54.4%(48.6~59.9)だった(補正後HR:0.95、95%CI:0.92~0.99)。

 深刻な有害事象と定義した、低・中等度リスク患者の30日以内の退院後初回外来診察までの全死因死亡・入院は6件未満だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)