モルヌピラビル、ワクチン接種済み患者の入院・死亡への効果は?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/12

 

 SARS-CoV-2の経口抗ウイルス薬モルヌピラビルは、地域で暮らす高リスクのワクチン接種済み成人集団における、COVID-19関連の入院または死亡の発生を減少しなかった。英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らが、約2万6,000例を対象とした非盲検プラットフォームアダプティブ無作為化対照試験「PANORAMIC試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2022年12月22日号掲載の報告。

28日以内の原因を問わない入院または死亡を比較

 PANORAMIC試験は2021年12月8日~2022年4月27日に、50歳以上、または18歳以上で関連併存疾患のある体調不良で在宅療養5日以内のCOVID-19確定患者を適格対象として行われた。被験者を無作為に2群に分け、一方にはモルヌピラビル(800mg、1日2回、5日間)+通常ケアを、もう一方の群には通常ケアのみを行った。

 無作為化はウェブベースシステムを用いて行い、年齢(50歳超、50歳未満)と、SARS-CoV-2ワクチン接種の有無による層別化も行った。

 COVID-19アウトカムは、無作為化後28日間、患者自身が記録したオンライン日誌で追跡された。主要アウトカムは、無作為化から28日以内の原因を問わない入院または死亡。解析は、無作為化を受けた適格全被験者を包含したベイズモデルを用いて行われた。

入院・死亡率はモルヌピラビル投与群、通常ケアのみ群ともに1%

 2万6,411例が無作為化を受けた(モルヌピラビル+通常ケア群1万2,821例、通常ケアのみ群1万2,962例、その他の治療628例)。主要解析には、モルヌピラビル+通常ケア群1万2,529例、通常ケアのみ群1万2,525例が包含された。

 被験者の平均年齢は56.6歳(SD 12.6)、SARS-CoV-2ワクチンの3回以上接種者は94%(2万5,708例中2万4,290例)だった。

 入院または死亡が記録されたのは、モルヌピラビル+通常ケア群105例(1%)、通常ケアのみ群98例(1%)だった(補正後オッズ比[OR]:1.06、95%ベイズ信用区間[CrI]:0.81~1.41、優越性の確率:0.33)。サブグループ間で治療相互作用のエビデンスはみられなかった。

 重篤な有害事象は、モルヌピラビル+通常ケア群で50例(0.4%)、通常ケアのみ群で45例(0.3%)が記録されたが、モルヌピラビルに関連すると判定された有害事象はなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)