子宮外妊娠、MTXへのゲフィチニブ上乗せ効果は?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/10

 

 卵管異所性妊娠(子宮外妊娠)の女性において、MTX(メトトレキサート)筋肉内投与にゲフィチニブ経口投与を上乗せしても、メトトレキサートを超える臨床的有用性は認められない一方、軽度の副作用が増加した。英国・エディンバラ大学のAndrew W. Horne氏らが、英国の病院50施設において実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Gefitinib for Ectopic pregnancy Management:GEM3」試験の結果を報告した。卵管異所性妊娠は、重大な病的状態の原因となる可能性があり、死に至ることさえある。現在の治療法はメトトレキサートまたは手術であるが、メトトレキサートの治療では約30%が失敗し、その後レスキュー手術が必要となる。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ゲフィチニブは、メトトレキサートの有効性を改善させる可能性が示唆されていた。Lancet誌オンライン版2023年2月1日号掲載の報告。

ゲフィチニブ250mg/日7日間経口投与上乗せをプラセボと比較

 研究グループは、卵管異所性妊娠と診断された18~50歳の女性で、メトトレキサートによる内科的管理が適切と判断された患者を、メトトレキサート(50mg/m2単回筋肉内投与)+ゲフィチニブ(250mg 1日1回7日間経口投与)群、またはメトトレキサート(同)+プラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、異所性妊娠に対する外科的介入(腹腔鏡または開腹による卵管切除術または卵管開口術)とし、intention-to-treat解析を行った。副次評価項目は、内科的管理による異所性妊娠の治癒(血清hCG値が妊娠前最低値15 IU/L以下に低下)までの期間、重篤な有害事象などとした。

外科的介入率は、ゲフィチニブ群30% vs.プラセボ群29%

 2016年11月2日~2021年10月6日の期間に、計328例をメトトレキサート+ゲフィチニブ群(165例、以下ゲフィチニブ群)またはメトトレキサート+プラセボ群(163例、以下プラセボ群)に割り付けた。プラセボ群の3例が同意を撤回したため、有効性解析対象集団はゲフィチニブ群165例、プラセボ群160例となった。

 主要評価項目である外科的介入率は、ゲフィチニブ群30%(50/165例)、プラセボ群29%(47/160例)であり、両群に有意差は認められなかった(補正後リスク比:1.15[95%信頼区間[CI]:0.85~1.58]、補正後群間リスク差:-0.01[95%CI:-0.10~0.09]、p=0.37)。

 内科的管理による異所性妊娠の治癒までの期間(中央値)は、ゲフィチニブ群28.0日(四分位範囲[IQR]:23.5~36.0、108例)、プラセボ群28.0日(21.0~36.5、108例)であった(原因特異的ハザード比[HR]:0.96[95%CI:0.69~1.33]、部分分布HR:1.03[95%CI:0.75~1.40])。

 重篤な有害事象は、ゲフィチニブ群165例中5例(3%)、プラセボ群162例中6例(4%)が認められた。下痢および発疹の発現率は、プラセボ群に比べ、ゲフィチニブ群で高かった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)