軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのイベルメクチン治療について、最大目標用量600μg/kgの6日間投与はプラセボ投与と比較して、持続的回復までの期間を改善しなかった。米国・デューク大学のSusanna Naggie氏らが、約1,200例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV-6試験」の結果を報告した。著者は、「結果は、軽症~中等症のCOVID-19患者へのイベルメクチン使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。
発症から7日以内の軽症~中等症を対象に試験
ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた、進行中のプラットフォーム無作為化試験。
被験者は2022年2月16日~7月22日にかけて、米国の93施設で登録された、2種以上の急性感染症の症状があり発症から7日以内のCOVID-19感染が確認された30歳以上の外来患者1,206例であった。最終フォローアップは同年11月10日。
被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはイベルメクチン最大目標用量600μg/kgを(602例)、もう一方にはプラセボが(604例)、それぞれ6日間投与された。
主要アウトカムは、持続的な回復(3日以上無症状が続く状態と定義)までの期間だった。副次アウトカムは、複合アウトカム(28日以内の入院、死亡、緊急/救急外来受診)など7項目だった。
持続的回復までの期間中央値、両群とも11日
無作為化を受けた1,206例は、年齢中央値48歳(四分位範囲[IQR]:38~58)、女性が713例(59.1%)、SARS-CoV-2ワクチンの2回以上接種者は1,008例(83.5%)だった。
持続的回復までの期間中央値(IQR)は、イベルメクチン群、プラセボ群ともに11日(IQR:11~12)だった。症状回復までの期間改善に関するハザード比(HR)は1.02(95%信用区間[CrI]:0.92~1.13、p=0.68)。
複合アウトカム発生は、イベルメクチン群34例(5.7%)、プラセボ群36例(6.0%)だった(HR:1.0、95%CrI:0.6~1.5、p=0.53)。また、イベルメクチン群で死亡が1例、入院が4例(0.8%)発生したが、プラセボ群では死亡例はなく、入院は2例(0.3%)だった。有害事象は両群共にまれであった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)