妊婦への2価RSVワクチン、乳児の重症下気道感染を予防/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/13

 

 妊婦への2価RSV融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチン投与は、乳児において診察を要する重症の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連下気道感染症に対し予防効果があり、安全性への懸念は示されなかった。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBeate Kampmann氏らが、約7,400例の妊婦とその出生児を対象に行った第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。これまで、同ワクチンの妊婦への投与の効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。

18ヵ国で49歳以下の健康な妊婦を対象に試験

 研究グループは18ヵ国で、妊娠24~36週、49歳以下の健康な妊婦を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に割り付け、一方には2価RSVpreFワクチン(120μg)を、もう一方にはプラセボをいずれも単回筋肉内投与した。

 有効性の主要エンドポイントは2つで、生後90日、120日、150日、180日以内の乳児における、診察を要した重症RSV関連下気道感染症と、診察を要したRSV関連下気道感染症だった。

 ワクチンの有効性を示す信頼区間(CI)下限値(90日以内が99.5%CI値、それ以降は97.58%CI値)は20%超と規定した。

有害事象発生率は両群で同等

 2020年6月17日~2022年10月2日に7,392例の妊婦が無作為化され、そのうち7,358例(RSVpreFワクチン群3,682例、プラセボ群3,676例)が接種および評価を受けた。乳児についてはRSVpreFワクチン群3,570例とプラセボ群3,558例が組み込まれた。

 本論は事前規定の中間解析の結果を示すもので、主要エンドポイントの1つに関して、ワクチンの有効性を示す基準が満たされた。

 生後90日以内の、診察を要した重症RSV関連下気道感染症は、RSVpreFワクチン群の乳児で6件、プラセボ群では33件だった(ワクチン有効性:81.8%、99.5%CI:40.6~96.3)。同様に生後180日以内では19件と62件だった(ワクチン有効性:69.4%、97.58%CI:44.3~84.1)。

 一方で、診察を要したRSV関連下気道感染症については、生後90日以内でRSVpreFワクチン群の乳児24件、プラセボ群56件が報告され(ワクチン有効性:57.1%、99.5%CI:14.7~79.8)、統計学的な有効性を示す基準を満たさなかった。

 安全性に関連する兆候は、妊婦および生後24ヵ月までの乳幼児ともに認められなかった。ワクチン投与1ヵ月以内または生後1ヵ月以内に発生した有害事象の発生率は、RSVpreFワクチン群(妊婦13.8%、乳児37.1%)とプラセボ群(13.1%、34.5%)で同程度だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)