2型DM患者、砂糖入り飲料多飲で死亡リスク2割増/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/04/27

 

 2型糖尿病(DM)患者における飲料別の全死因死亡および心血管疾患(CVD)アウトカムとの関連が明らかにされた。砂糖入り飲料の多量摂取が全死因死亡およびCVDの発症・死亡と関連する一方で、コーヒー・紅茶・淡水・低脂肪乳の摂取は、摂取量と全死因死亡が逆相関であるという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のLe Ma氏らが、2つの大規模前向きコホート試験、Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-Up Studyの解析結果を報告した。著者は、「示された結果は、成人2型DM患者におけるCVDおよび早期死亡のリスクを管理するうえで、飲料の健康的な選択が果たす潜在的な役割を強調するものであった」とまとめている。BMJ誌2023年4月19日号掲載の報告。

1万5,000例の飲料摂取内容・量を2~4年ごとに調査

 研究グループは、1980~2018年のNurses' Health Studyと1986~2018年のHealth Professionals Follow-Up Studyに参加し、ベースラインおよび追跡期間中に2型DMの診断を受けていた男女1万5,486例を対象に、飲料別の摂取と死亡およびCVDアウトカムの関連を調べた。飲料の摂取量は、食品摂取頻度に関する質問票を用いて評価し、2~4年ごとに更新した。

 主要アウトカムは全死因死亡。副次アウトカムはCVDの発症と死亡とした。

砂糖入り飲料の多量摂取、死亡リスク1.2倍

 平均追跡期間18.5年の間に、CVDの発症は3,447例(22.3%)、死亡は7,638例(49.3%)が報告された。多変量補正後、各種飲料摂取量の5分類中、最高量群の最低量群に対する死亡に関するプール解析ハザード比(HR)は、砂糖入り飲料では1.20(95%信頼区間[CI]:1.04~1.37)だった。一方で、コーヒーでは0.74(0.63~0.86)、紅茶0.79(0.71~0.89)、淡水0.77(0.70~0.85)、低脂肪乳0.88(0.80~0.96)だった。

 同様の関連は、各種飲料摂取量とCVD発症・死亡との間にも認められた。とくに、砂糖入り飲料については、摂取の最高量群の最低量群に対するCVD発症に関するHRは1.25(95%CI:1.03~1.51)、同じくCVD死のHRは1.29(1.02~1.63)と、摂取量と正の関連がみられた。一方で、コーヒー、低脂肪乳については、摂取量と同リスクに逆相関が認められた。

 さらに、2型DMの診断後にコーヒーの摂取量が増えた人は増えなかった人に比べ、全死因死亡は低いことが観察された。同様の関連性は、紅茶と低脂肪乳についてもみられた。

 砂糖入り飲料から人工甘味料入り飲料への変更で、全死因死亡やCVD死の有意な低下が認められた。砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料、フルーツジュース、全脂肪乳から、コーヒー、紅茶、淡水への変更でも、一貫して全死因死亡の低下が認められた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

専門家はこう見る

コメンテーター : 島田 俊夫( しまだ としお ) 氏

地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター センター長

J-CLEAR評議員

原著論文はこちら