進行期皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者に対する同種造血幹細胞移植(HSCT)は、非HSCTとの比較において無増悪生存期間(PFS)中央値を有意に延長したことが、フランス・サン・ルイ病院のAdele de Masson氏らによる前向き適合対照試験「CUTALLO試験」で示された。進行期CTCLはまれだが、大抵は難治性で致死的な疾患であり、ケースシリーズにおいて同種HSCTによる改善の可能性が示されていた。著者は、「今回の結果は、高リスクで進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、移植前に寛解期にある患者が、同種HSCT治療を利用できるようにすべきであることを示すものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月24日号掲載の報告。
進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群の18~70歳を試験
研究グループは、進行期CTCL患者のアウトカムへの効果を、同種HSCTと非HSCTの治療とで比較するため、多施設共同前向き適合対照試験にて検討した。試験は30病院で実施され、進行期CTCLの患者を、兄弟姉妹や適合非血縁ドナーがいる場合は同種HSCT治療、いない場合は疾患のサブタイプなどによりHSCT以外の治療を行う群(非HSCT群)に割り付けた。
被験者は、年齢18~70歳、進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、予後不良基準に1つ以上該当する患者とし、完全または部分寛解の認められない患者は除外した。
両群の標準化平均差を用いて共変量分布のバランスをとりながら、傾向スコア1対1マッチング置換法(非HSCT群の患者の適合回数は問わず、HSCT群の各患者と最も近い傾向スコアを持つ患者を適合させる方法)を用いて交絡因子を補正した。
主要エンドポイントは、適合intention-to-treat(ITT)集団におけるPFSだった。
重篤有害イベント発生は非HSCT群67%に対しHSCT群78%
2016年6月1日~2022年3月3日に、フランスの17センターで合計99例が登録された。被験者のうち、HSCT群は55例(56%)、非HSCT群は44例(44%)だった。
生存者の追跡期間中央値は12.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:11.0~35.2)だった。HSCT群の51例(93%)について、非HSCT群と1対1で適合した。
ITT解析において、PFS中央値はHSCT群が9.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.6~30.5)と、非HSCT群3.0ヵ月(2.0~6.3)に比べて有意に延長した(ハザード比[HR]:0.38、95%CI:0.21~0.69、p<0.0001)。
per-protocol集団で評価した重篤有害イベントの報告は、HSCT群は40例(78%)で101件、非HSCT群は29例(67%)で70件だった。両群で最も頻度の高かった重篤有害イベントは、移植片対宿主病(GVHD)以外では感染症で、HSCT群30例(59%)、非HSCT群19例(44%)で発生した。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)