在宅アルブミン尿スクリーニング、最適な方法は?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/28

 

 一般住民におけるアルブミン尿増加の在宅スクリーニングは、採尿器(UCD)法で参加率が高く、アルブミン尿高値ならびに慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患のリスク因子を有する個人を正しく同定した。一方、スマートフォンのアプリケーションを用いる方法(スマホアプリ法)は、UCD法より参加率が低く、精密スクリーニングによる個人のリスク因子の正確な評価のためには検査の特異度が低かった。オランダ・フローニンゲン大学のDominique van Mil氏らが、前向き無作為化非盲検試験「Towards Home-based Albuminuria Screening:THOMAS試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「UCDスクリーニング戦略により、CKD患者の進行性腎機能低下と心血管疾患を予防するための早期の治療開始が可能となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月16日号掲載の報告。

45~80歳の一般住民を、UCD法とスマホアプリ法に無作為化

 研究グループは、オランダ・ブレダ地区に居住する45~80歳の一般住民から無作為に抽出され本研究の参加に同意した人を、UCD法群またはスマホアプリ法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 UCD法群では、UCDで採取した尿サンプルを中央検査施設に送ってもらい、免疫比濁法による尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)を測定した。スマホアプリ法群では、家庭用アルブミン尿スクリーニング自己検査キットを配布し、スマートフォンのアプリケーションを使用して自宅でディップスティックによるACR測定を行った。

 いずれの群も、最初の検査でアルブミン尿高値(国際腎臓病ガイドライン機構[KDIGO]の分類でA2以上など)を認めた参加者には、2回目の検査キットを送付し、2回目の検査結果が陰性であった場合は、3回目の検査キットを送付した。2回目または3回目の検査が陽性だった参加者は、ブレダにあるAmphia HospitalでCKDと心血管リスク因子の精密スクリーニングを受け、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病または腎機能障害などが発見された場合は、治療のために一般開業医に紹介された。

 主要アウトカムは、在宅スクリーニングと精密スクリーニングの参加率と陽性率とした。また、探索的解析として、在宅スクリーニングの2つの方法の感度と特異度を評価することを事前に計画した。

検査完了はUCD法群59.4%、スマホアプリ法群44.3%、検査の感度と特異度はUCD法で96.6%および97.3%

 2019年11月14日~2021年3月19日の間に1万5,074例が登録され、7,552例(50.1%)がUCD法群、7,522例(49.9%)がスマホアプリ法群に割り付けられた。

 在宅スクリーニングを完了した人(参加率)は、UCD法群で7,552例中4,484例(59.4%、95%信頼区間[CI]:58.3~60.5)、スマホアプリ法群で7,522例中3,336例(44.3%、43.2~45.5)であった(p<0.0001)。

 そのうち、最終的にアルブミン尿陽性が確認された人(陽性率)は、UCD法群で4,484例中150例(3.3%、95%CI:2.9~3.9)、スマホアプリ法群で3,336例中171例(5.1%、4.4~5.9)であった。

 精密スクリーニングには、UCD法群で150例中124例(82.7%、95%CI:75.8~87.9)、スマホアプリ法群で171例中142例(83.0%、76.7~87.9)が参加した。

 ACR高値の検出感度は、UCD法で96.6%(95%CI:91.5~99.1)、スマホアプリ法で98.1%(89.9~99.9)、特異度はそれぞれ97.3%(95%CI:94.7~98.8)、67.9%(62.0~73.3)であり、UCD法のみ検査特性はスクリーニングに十分であることが示された。

 精密スクリーニングを完了したUCD法群の124例のうち、アルブミン尿、高血圧、高コレステロール血症、腎機能低下が新たに診断されたのはそれぞれ77例(62.1%)、44例(35.5%)、30例(24.2%)、27例(21.8%)であり、111例(89.5%)が新たにCKDまたは心血管疾患等のリスク因子を有すると診断され、一般開業医に紹介された。

(ケアネット)